株式会社JVCケンウッドは、英国マクラーレン・オートモーティブ社と同社の高級スポーツカー「McLaren 720S」向け先進的デジタルコックピットシステムの共同開発が完了し、2017年3月にスイス・ジュネーブで開催された世界最大級の自動車ショー「ジュネーブモーターショー2017」のマクラーレンブースにて発表されましたので、お知らせいたします。

1．デジタルコックピットシステム開発の背景

　当社は、最大事業領域となるカーエレクトロニクス（カーナビゲーションなど）とオプトエレクトロニクス（ビデオカメラ、プロジェクターなど）の強みを融合したカーオプトロニクス^※1分野を創出し、ヘッドアップ・ディスプレイや車載用フルHDカメラ、電子メーター、電子ミラーといったデジタルコックピットシステムの開発に注力しており、安全で安心な車社会への貢献に向けた取り組みを推進してきました。

　2015年および2016年にアメリカ・ラスベガスで開催された世界最大級のエレクトロニクス・ショー「International CES」では、当社とマクラーレン・オートモーティブ社で共同開発したデジタルコックピットシステムを搭載したショーカーを展示するなど、両社で連携を深めながら実用化に向けた研究開発を続けてまいりました。

　このたび発表された高級スポーツカー「McLaren 720S」は、「International CES」で展示したものにさらに改良を加えた、当社の映像・光学、音響、センシングなどの技術を結集した高性能ドライバーインターフェイスとデジタルコックピットシステムを搭載しております。

　なお、「McLaren 720S」は現在予約を受け付けており、2017年5月以降の納車が予定されています。

※1：車載機器にオプトエレクトロニクス技術を用いた当社独自の名称

＜McLaren 720S＞

2．McLaren 720Sに搭載されたシステムの概要

（1）電動可動式ドライバーディスプレイ

• 使用シーンに合わせて折りたたみが可能な高精細フルHDセンタークラスター
• 3つのドライビング・モード（コンフォート、スポーツ、トラック）に合わせてグラフィックや表示情報が切り替わる10.25インチメインディスプレイと、ボタン操作または自動的に下方へスライドしてスリムディスプレイモードになり、サーキット走行に特化した最小限の重要情報のみを表示する6.35インチスリムディスプレイを搭載

＜フルディスプレイモード＞

＜スリムディスプレイモード＞

（2）インフォテインメント

• 空調など各種車輌設定のコントロールが可能な8インチタッチスクリーン式センターディスプレイユニット
• 世界各国言語対応ナビゲーションシステムは、RDS-TMC^※2／FM-VICS、Bluetooth、およびSirius XMやDABなどのデジタルラジオ放送に対応
• 360度カメラシステムが安全な車輌移動やパーキングアシストを実現するトップダウン（俯瞰）ビュー

※2：欧州で採用されているFMラジオ放送を介して交通情報や旅行情報を配信するサービス

＜センターディスプレイユニット＞

＜ナビゲーション＞

＜トップダウンビュー＞

3．当社の自動車産業向けソリューション

　当社は、カメラやセンサーなどのセンシングデバイス（カーオプトロニクス）から車両検知などのADAS（先進運転支援システム）、それらをドライバーに伝えるディスプレイ・インターフェースという、情報の入り口から出口までの各種コア技術をグループ内で保有する数少ない専業メーカーです。また当社はカーオーディオ、カーナビゲーション、インフォテインメントシステムを通して、安全性、優れた快適性で走る楽しさを提供します。

　当社はこの強みを生かしてデジタルコックピットシステムの開発に取り組んでおり、この革新的な運転者支援技術を今後各社の実用車に搭載いただくことで、安全で安心な車社会への貢献をめざしていきます。