上海工場の女性管理職座談会ダイバーシティな人

上海工場の女性管理職座談会

いつでも向上心を忘れずに、前を見て、強く生きていきたい。

およそ1,000人の社員を抱えるJVCケンウッドグループの上海生産会社、Shanghai Kenwood Electronics Co. Ltd.(以下、SKE)。
設立から徐々に規模を拡大してきました。
今回“ダイバーシティな人”では、SKEで働く4人の女性管理職にインタビュー。
彼女たちのキャリアアップへの姿勢や管理職としての意識、子どもや家族への想いなどを語ってもらいました。

座談会メンバー

馮 巍(ファン ウェイ)

2006年入社 品質保証部 部長

大学では日本語を専攻し、日系企業を経てSKEに。管理部 総務人事課に約4年間所属した後、品質保証部に配属。

上司からのコメント品質体制と品質管理に精通し周囲からの信頼もあつい。

宦 吉敏(フゥァン ヂィーミィン)

2004年入社 管理部 部長

日本語のスキルを活かし、SKEの調達部へ中途入社。管理部では総務・人事・経営管理・IT・サービスなどの管理業務を幅広く担当。

上司からのコメント明るく快活で、社内のムードメーカー的存在。

張 微涓(ヂァン ウェイヂュァン)

2009年入社 財務部 副部長

管理部の通訳として経験を積んだ後、財務部に配属。月次決算に関する業務のほか、税務管理や銀行とのやり取りなどマネジメントが主な仕事。

上司からのコメント中国語、日本語、韓国語を自在に使いこなし、日本で工商簿記資格も取得した経理社員。

周 英(ヂォゥ イン)

1997年入社 生産技術部 技術支援課 課長

入社後、製造部を経て生産技術部に。現在はさまざまな資料作成や工場ラインの改善のほか、チーム内が気持ちよく働けるよう管理業務を行っている。18歳になる長男がいる。

上司からのコメント責任感が強く、常に学びの姿勢を持っている。

働く女性として

中国での女性の社会進出について聞かせてください。

中国では社会進出に伴い、「男女平等」「教育平等」「女性が自力で社会進出し、人生の価値を創る」という考えが広がり、現在では当たり前に女性が男性と同じように活躍しています。学校を卒業してから就職するのも普通のことで、さまざまな業界で活躍する女性の姿はマスコミにも“自分のやりたいことを試し、人生を豊かにした女性”として取り上げられています。
ここSKEでも同じように多くの女性が活躍しています。電子製品の製造など繊細な作業が求められていることが理由の一つかもしれませんが、日系企業ならではの働きやすさもあるのではないかな、と。仕事と生活のバランスが取りやすいので、欧米系の企業より働き続ける環境が整っているのかもしれません。

中国では1950年代から男女平等を提唱し、1960年代には多くの女性がさまざまな企業において幹部職として活躍していました。そんな時代背景もあってか、私は共働きの両親のもとで育ち、輝かしく働いている女性の姿を間近に見てきたので、女性が男性と同じように社会に出ることに何の違和感もありませんでした。

この国ではもともと夫婦共働きが一般的でしたが、一人っ子政策の導入により子どもの性別に関係なく自立した人間になるよう親の教育も過熱していました。もちろん私も例外ではなく、母親から同じように教育されてきました。

私も同じです。子どもの頃から、強く、勇敢で、自立していた母を目の当たりにしてきました。母は上海の育ちですが、中国では上海の女性が一番強いと言われているくらいなんですよ。
逆に、上海では実は男性がすごく優しいです。みんな自分の奥さんが外に出て輝いてくれることが自分の誇りだと思ってくれています。

仕事と家庭は両立できましたか?

正直、両立は簡単ではありませんでした。中国での一般的な産休育休は出産前の2週間と産後の4ヶ月くらい。子どもはまだ小さすぎて保育園に入れられないし、だからといって仕事を辞めることもできないし、仕事を続けたいという気持ちも大きい。復職前に何度も夫婦で話し合った結果、家政婦を雇うことを決めました。
中国では家政婦を雇うのはよくある話で、うちは24時間の住み込みでお願いしていました。私たちが会社で働いている間は子どものお世話をしてもらい、夜は家事をお任せします。そうすることで帰宅後に子育てする時間を取れるようにしていました。

中国では3歳から幼稚園に入るのが一般的ですが、私の場合は娘が2歳の時にSKEへの入社が決まったことで、早くから保育園に入れていました。お迎えなども家政婦の人を雇ってお願いしていたので、今思うと娘に淋しい思いをさせてしまったかな……と心が痛みます。

私は両親が近くに住んでいたので子育てを手伝ってもらいました。中国では両親が子育てをサポートするのは珍しくありません。特に出産当時は夫の出張が多かったため、両親がたくさん面倒を見てくれました。

うちも両方の親が理解してくれたので交代で子どもの面倒を見てくれました。家政婦を雇ったのは家事の負担を減らすため。幸いにも夫が私より休日が多かったので、子どもの世話や教育などに時間を作ってもらえました。家族みんなに、本当に感謝しかありません。旦那さんのサポートといえば、周さんの旦那さんもすごい!

料理も洗濯も掃除も、何でもこなせますね。特に役割分担を決めているわけではありませんが、お互いなんとなく気付いたことをやろうって感じでしょうか。私が仕事で疲れて帰った時にはすべてやってくれます。

実は私の場合はみんなと違って、父親が家事をする姿をあまり見たことがありません。そんな環境もあってか夫に家事や育児を手伝ってもらうことを申し訳ないと思ってしまうので、忙しい時や大変な時だけ自分から頼むようにしています。きちんとお願いすると快く手伝ってくれるので、私ばっかりという気持ちにはならないし、ケンカにもなりません。
女性として家庭も仕事も両立させるためには、お互いの理解が必要です。そのためには、「私は◯◯をやりたい」「手伝ってほしい」「仕事で活躍したい」と思っていることを口にして伝えることが大切だと私は思います。

今後、働く女性として、母として、どう成長していきたいですか?

仕事ではスキルアップのためにも、もっとたくさんのことを学びたい。特に財務関係の勉強が必要だと思っています。また家庭では、いつまでも家族の時間を大切にしたいので、年に2回は家族旅行を計画して、いろんな場所へ遊びに行きたいと思っています。

管理部に所属して3年経ちますが、人を管理する立場としての経験がまだまだと感じています。どうしたらみんなが気持ちよく働けるか、仕事がうまく回せるか、個々の能力を高められるか、解決しなければならない課題はいっぱいです。毎日の仕事の中だけではなく、外で専門的に学ぶ機会も増やしていきたいですね。
そして母親としては、11歳と6歳の娘を社会に貢献できる人として育てていきたい。子どもの教育については夫とも時々話し合うのですが、意見が合わなくてケンカすることもよくあるくらい(笑)。

子どもには「頑張る人生、後悔がない人生を過ごしましょう!男女関係なく、努力して、趣味と家庭と仕事のバランスを取りながら自分の能力を高めていきましょう!」と伝えていきたいので、まずは自分がその姿を見せていかないと。今はそんな思いでいますが、まだ子どもが1歳だったころ今後の教育に悩んでしまい……それがきっかけとなって児童心理を学び、心理学のカウンセラー資格を取得しました。普段から人の考え方についての本を読んだりしているので、子どもの教育だけでなく、会社でも活かしたいです。
そしてこの先、品質保証に関わるさらなる勉強とレベルアップをしながら、働く女性として成長していきたいです。

親としてできることと言えば、「親の背を見て子は育つ」ことだと信じているので、子どもの教育につながるよう、自分の行動をもっと意識しないと。特に将来は社会と組織に貢献できるよう成長して欲しいので、私自身も税務関連や銀行関連の知識を深めながら、アンテナを常に高く張って会社に貢献したいです。

日系企業で働くということ

SKEの環境や働きやすさについてどう思っていますか?

日系企業に対して私が持っていたイメージは、「時間と約束を守るという意識が強い」「社内の雰囲気が良く、部門間のコミュニケーションを大切にしている」「社会のルールを厳しく守り、社員に信頼されている企業」「日本語が話せてやる気があれば、社内で成長できる」の4つがあります。その上で特にSKEは、社員一人一人の“やる気”に応えてくれる会社だと思います。日本語を学びたいという人がいれば日本語を学べる環境を作ってくれるし、管理職を対象に外部から講師を招いてのマネジメント研修も行ってくれます。もちろん全社員が参加できる研修もあります。SKEはやる気さえあれば、チャンスをたくさんくれる会社だと思います。

ここではお互いが知り得た知識を共有することもよくあるので、周りのみんなが頑張っている姿を見ると、自分も頑張らなきゃという気持ちになります。入社当時はまったく日本語を話せなかったのに、もっと成長したい、もっといろんなことに挑戦したいという思いで日本語を学び、その後は働きながら3年間勉強し、会社の管理や部門の管理についての能力を養うために「工商管理学士」の資格を取りました。SKEでは個々のスキルに対し正当に評価してくれるので、これからもいろんなことにチャレンジしたいですね。

残業時間があまりなく、定時に帰れるのでうれしいです。会社がプライベートな時間を尊重してくれるので残業があっても自分でコントロールできます。ここでは16時50分が終業時間なのですが、定時になるとみんな大急ぎでパーッと会社を出ていくんですよ(笑)。オンオフの切り替えは日本よりハッキリしているのではないでしょうか。

改めて思うとSKEでは、近隣国や中国民営企業に比べて社員への気配りは抜群です。年に1回社員旅行があって、家族連れで参加することもできます。普段、同じ空間で仕事をしていても、実はお互いの家族のことって分からなかったりするじゃないですか。だから社員旅行は家族を知る良いきっかけですね。楽しい思い出にもなっています。
また、産休育休についても理解がありとてもありがたいです。私も取得しましたが、産休後に職場に戻った時も、みんな以前と変わらぬ雰囲気で出迎えてくれたことを覚えています。

管理職として意識していることは?

管理職に就いたばかりの頃は、専門知識を持って前に進む行動力が必要だと考えていました。しかし人が増えるにつれ、チームーワークという言葉を改めて意識するようになりました。財務の場合、黙々と仕分けしたり、伝票を書き入れたりする業務がメインなので、お互い話す機会がないんですよ。でもそれが原因で決算上に問題が出たことがあったので、コミュニケーションの大切さに気付かされました。最近では、決算後の振り返り会や検討会を開いて、情報をみんなで共有できるようにしています。こうしてチームのつながりを深めつつ、一人一人が仕事を楽しめる環境をつくることが今の私の課題です。

専門知識の大切さを痛感しています。資格をとったのもそれが理由の一つですが、部下を抱える立場として、きちんと教育するためにも知識が必要だと思っています。技術に関する知識以外にも、財務関係や物流関係など学ぶべきことはいっぱいあると思います。

全局観と責任感です。全局観とは、会社や部門全体のバランスのことで、自分の目の前の物事だけを考えるのではなく、もっと広い視野を持ちどうすれば効率的に業務が行えるのかを常に考える必要があります。あとは管理の本質として、社員のマネジメントだと考えます。ダイバーシティと同じことですが、社内にはさまざまな性格や個性を持った人がいて、それぞれに好き嫌いがあります。そんな人たちが一つの場所に集まり、やりがいを感じながら一緒に働くことは会社で働く面白みだと思います。私はその真髄をみんなに感じてもらえるよう、管理職としてマネジメントしていかなければならないと感じています。

若い人材の育成です。SKEは働きやすい環境にあるため、社員の定着率が高いことが魅力ですが、一方で若い人が少ないのも事実です。今後会社が発展していくためには、次世代の社員を育成し、将来の管理職不足をなくすことが優先事項となります。SKEは松江地区に最初に進出した日系企業で、設立から20年以上が経ちます。将来性があり、安定した会社です。若い人材のみなさんに私からもどんどんアピールしていきたいと思います。

働く上であなたが大切にしていることは?

なるべく残業はしない、をモットーにしています。中国でも残業はあります。ただ財務部は特に女性が多いので、残業は家庭的に好ましくないものです。モチベーションアップにつなげられるよう、自分だけでなく、まわりの人たちの働き方もうまく管理していきたいです。
そしてもう一つは素敵だと思えるような働き方をすることです。日本留学中に知り合った社会人女性の方がピシッとしていて、とても素敵だったので。自分もそうありたいと思いました。

1つめは明確な意志の伝達です。裏表なく、好き嫌いをはっきり言い、自分の気持ちを隠さず、素直に伝えるようにしています。2つめは世界へ興味を持つこと。中国国内だけでなく、もっと広い世界を知って考え方など広げていきたいです。3つめは親孝行すること。自分に子どもが生まれた時、両親はたくさん手伝ってくれました。ですから、いずれやってくる親の介護については全力を尽くしたい。今は別々に住んでいますが、両親を支えながら、子どもに模範を見せて愛を継いでいきたいです。

私が大切にしていることは4つあります。「お互いの異なる風習を尊重すること」「誠実であること、偽りのない心を持つこと」「仕事での問題点を指摘してくれた人には感謝し、そういう人を尊敬すること」「どんな仕事であっても真面目に仕事をする人を尊敬すること」です。中国には56の民族があり、みんなそれぞれに文化や風習が違うので、一人一人の個性や価値観を認め尊重し、お互いが気持ちよく働けるようにしたいです。

「子曰く、三人行えば、必ず我が師有り。其の善き者を擇びて之に従い、其の善からざる者にして之を改む。」これは私がいちばん好きな孔子の言葉です。日本語に訳すと、3人で行動すると必ず自分の手本になる人とならない人がいる。良い点については見習い、良くない点については自分に当てはまるのなら改めればいい、という意味になります。つまり、言い換えると、どんな人であろうと素晴らしい技術を持っているのであればちゃんと学ぶべきということ。社会で働く上でも大切なことだと思うので、ぜひ心に刻んでいただけたらうれしいです。

*所属・職位は掲載日時点の情報です。

SKEについて

Shanghai Kenwood Electronics Co. Ltd.

所在地中国 上海

主要生産品目カーエレクトロニクス関連、通信関連機器

1994年設立、オートモーティブ分野生産拠点の一つ。
「お客様から信頼される会社を目指し社会に貢献する」をビジョンに、全従業員が一丸となって納入品質の向上のほか、工場内全体のレベルアップや社員のモラル教育を徹底している。現在では管理職の半数近くを女性が占めるなど、多くの女性たちが活躍している。

SKEの様子

SKE社長 阿部 重徳氏のメッセージ

実際に住んでみると、中国はエネルギッシュで、非常に魅力的な国だと感じています。都市部だけでなく、国中に「男女平等」の考えが浸透している中国では、女性たちの「自分で生きていく覚悟」を感じます。働きながらも、常に向上心を持ち、勉強を続けるのもそういうところが背景にあるのではないかと思います。
一方、オンオフの切り替えはとてもはっきりしていて、仕事中はユニフォームを着てテキパキと部下に指示をしていたかと思うと、終業後はこれからどこかに出かけるのかな?と言うような華やかな服装で軽やかに帰っていきます(笑)。ワーク・ライフ・バランスがしっかりしているので、夜は家族との時間を大切にしたり、遊ぶ時は思い切り遊んだりもするようですね。彼女たちの力強く、明るく前向きに生きる姿は見習いたいと思う部分が多いです。


〜 編集後記(ダイバーシティ推進室より)〜

「ダイバーシティな人」の座談会シリーズ第3弾では、海外拠点で活躍している社員に焦点を当てました。今回は部門長4名を取材しましたが、SKEではリーダークラス(課長・係長級)にも多くの女性社員が活躍しており、人材の層の厚さを感じました。
取材を通して、中国の歴史的背景や風習をはじめ、これまで知らなかった中国の現状を知ることができました。印象的だったのは、今回取材をした4名の女性たちの「しなやかで、逞しく、かつ楽しく」生きる姿です。仕事と家事や育児の両立だけでも精いっぱいになりがちなのに、家族の理解や協力を得ながら語学や専門知識の勉強をしたり資格の学校に通ったりと、向上心を忘れずに学び続ける姿が心に残りました。グローバル意識も高く、自分の活躍するフィールドを国内だけでなく海外も視野に入れて模索する姿も見習いたいと思いました。
ダイバーシティには「性別」「国籍」「人種」「障がいの有無」「性的指向」など、さまざまな要素がありますが、「女性活躍」一つをとっても、日本と中国では歴史も文化も異なり、現在の状況も全く違うことを改めて知りました。これからもさまざまな国や地域での取材を通して、各国の“ダイバーシティ”について深掘りしていきたいと強く感じています。

ダイバーシティ推進室 長谷川 美峰子

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