経営層インタビュー ~今井 正樹~ 経営層が語るダイバーシティ

経営層インタビュー ~今井 正樹~

今井 正樹いまい まさき

取締役 副社長執行役員
最高戦略責任者(CSO)兼 最高総務責任者(CAO)

多様な生き方がより幸せにつながる時代。
ダイバーシティの推進は必要不可欠なもの。

一人ひとりが自分らしく、生き生きと働ける企業へ。

私は2013年から人事、総務、法務、グループ経営などを管轄していますが、JVCケンウッドでダイバーシティへの取り組みが始まったのは2015年10月頃のことです。世間でもダイバーシティという言葉が盛んに使われており、私たちも何か行動を起こさなければという思いでいました。そこで正式に組織を作り、ついにスタートラインへ。目指すゴールは、従業員一人ひとりのダイバーシティが尊重され、多様な人たちが生き生きと働くことができる、働きがいのある職場の実現です。

こうしてついに動き出したわけですが、正直なところどこまで関心を持ってもらえるのだろうかという不安はかなりありました。当時、社内でもダイバーシティという言葉そのものは認知されていましたが、地に足のついた実践となると話は別で、頭で理解するだけではなく、役員や従業員一人ひとりにダイバーシティの考え方が浸透し、企業文化として根付かなくてはなりません。テーマも性別、人種、国籍、障がいの有無、性的指向、年齢などとても幅広く、一朝一夕で何かを変えることはできません。まずは何を優先し、どう進めていくべきか。当社では、女性の管理職比率が非常に低いという課題があったので、まずは女性の活躍を推進する取り組みから始めることにしました。

仕事において男女の区別はいらない。
女性の活躍推進へさらなる加速を。

私自身の印象としても、過去の2度にわたる海外駐在の経験から、当社では女性の活躍できる場の絶対数が非常に少ないと感じていました。
たとえば、シンガポールでは人事部長、人事課長、IT部長などの要職、上海では製造部長をはじめ幹部職の半数近くが女性でした。議論の場でも相手に対し一歩も引かず自説を主張し、互いに白熱するシーンに何度も出くわしました。それこそ、掴みかかるくらいの勢いだったことも。仕事をしていて、あの人は女性だからとか、男性だからとか、そういう意識はこれっぽっちもありません。性別なんてまったく関係なく、みんなが一人の人間として、それぞれの立場で本気でぶつかり合うことが当たり前にできていました。

そう振り返って改めて周りを見ると、やはり当社に限らず、日本では幹部職や経営に近い立場で存分に活躍している女性の割合が少なく、海外と比べて大きく遅れを取っていると感じました。では、ダイバーシティ推進の中で今後どう取り組んでいくべきか。女性の活躍推進には2つの側面があり、一つは女性が能力を発揮できる場が少ないという「会社の問題」、もう一つは能力を持っているのに発揮しようとしない「本人の問題」がありました。私が自分の目で見る限り当社には両方に問題があり、これらをクリアするために会社としてできることといえば、公平に機会を作ってあげること。イスを均等に置いて、あとは遠慮せずに座ってみてよと背中を押してあげることだと思います。それには各職場の上司の意識改革が不可欠なので、2016年度から女性従業員の上司を対象にした研修を行っています。また、女性従業員自身のモチベーションアップのために外部の研修に派遣する取り組みも始めました。

ダイバーシティは今後の日本にも意義のあるもの。
まずは意識改革に手を尽くしたい。

私たちのダイバーシティ推進の道のりはまだまだ走り出したところで、フルマラソンでいえば10km地点。この先には女性の活躍推進だけでなく、乗り越えなければならないテーマがたくさんあります。総括的な今後の課題としては「この会社で仕事をする上で、個々の能力を最大限発揮することを妨げてはならない」ということに尽きます。妨げるものとしては、権威主義や旧来の仕事のやり方、小さな世界観に伴う偏狭な考え方や、誰にでもある無意識の偏見など。それらは長期間の積み重ねや習性によるものなので、岩盤のように固く簡単には剥がれません。私たちは熱いお湯をかけたり、風を当てたり、手を変え、品を変え少しずつ剥がしていくしかないのです。それでも、多様性を受け入れ、道を開き、すべての人が働き方を選べるようにするためには、意識の改革こそが今もっとも必要なことであると私は思っています。

企業がダイバーシティを推進する意義として、私はこれからの日本にとってもメリットがあると考えます。今後、わが国はますます人口が減り、老齢化社会が一層進んでいくでしょう。イギリスの経済学者リンダ・グラットン氏曰く、もはや60歳で定年ではなく、80歳まで働くことが現実味を帯びてくる時代。働いて、休んで、また働いて、少し勉強するとか、多様な生き方をしていった方がより幸せになるのだ、と。まさにその通りで、いろいろな仕事のスタイルやパターンがあって、それぞれ自分に合った働き方を選べるようにしなくてはなりません。人生100年、個人個人が充実した人生を送るためには多様性を受け入れることが大切です。ダイバーシティの推進は会社にとっても日本にとっても、もはや避けて通るわけにはいかないのです。

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