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Date:2017/6/2

Place:大阪国際がんセンター

Interviewee:

左近 賢人 様

大阪国際がんセンター
病院長 左近 賢人 様

大阪国際がんセンターWEBSITE

導入箇所:1階の受付エリア

施工時期:2017年3月

販売会社:株式会社JVCケンウッド・公共産業システム

●大阪国際がんセンターについて教えてください。

大阪国際がんセンターは、大阪府立成人病センターが前身で、主に循環器(心臓と血管)疾患の治療に約60年近く携わってきました。心筋梗塞など緊急な対応が必要とされる心臓系の疾患に対応できる緊急体制を構築してきました。またステント治療なども最も早くに取り入れた施設で、その専門性を確立させてきた病院です。次第に成人病センターのような施設が全国的に徐々に広がりをみせ、循環器系の疾患に対する課題も解決してきたとみて、今後、研究・開発機関としてのセンターの役割を「がん」に特化した病院へと進化させ医療活動を促進することとなり、「大阪国際がんセンター」として現在に至ります。
がん患者さまの入院者数は、全国で4位、西日本では1位で、専門病院としての認知されております。

●KooNeを最初に聞かれたときの感想をお聞かせ願います。

一言でいえば、“森の中の野鳥のさえずりを肌で感じることを実感できた”ということでしょうか。 徳島県にある大塚国際美術館でイタリアのシスティーナ礼拝堂の天井画が再現されていますが、ここは現代美術館なので、建物はもちろんコンクリートです。しかし、本物そのままに古いレンガ造りの天井画を移築しているかのようで、入室した際、本当に礼拝堂に入ったかのように、ある特融のしめり気を肌で感じられたのです。 KooNeを聞いたときというのは、この美術館の時の体験と似ていて、高周波を含む自然界の音を録音してきた音源という点で人口的ではあるけれども、本物だと感じられるような五感に訴える臨場感を覚えました。

● KooNe採用のポイントや導入いただきました背景・経緯をお聞かせください。

先ほど述べました音の臨場感が大きな採用ポイントですが、KooNe導入に至るまでの背景というのは、当センターが大事にしているコンセプトがKeyになります。
一般的な病院施設というのは、医療者側の視点をもとに体制を出来上がっているものが多くあります。しかしながら、当センターはその考えを大きく変化させ、患者さまの視点に立っての病院の在り方を考えることにシフトしました。

当センターはがんセンターのため、患者さまは「がんストレス」という精神的・肉体的ストレスを少なからず感じています。 疾患の治療はもちろんですが、がんと宣告された患者さまに対するストレスを病院として和らげることをしていかなければならないと考えています。

このがんストレスですが、がん患者さまの場合、早期発見で治療したとしても、再発を気にかけたり、治療が終わったとしても通院で補助期間があったりと、患者さまの心配の頻度は高く、また病院と関わる期間というのは限定されておらず、5~6年と思っている以上に延長されていくものです。 がん患者さまの多くは、このように長期的に病院と関わる時間が長く、その分、金銭、労働、家族といった不安を長く持ち続けることになるのです。そのため、病院として、この不安をいっぱい抱えた患者さまに何ができるのかを考えてきました。その答えとして、不安な思いをほんの少しでも軽減することしかでしか返せないという考えに達し、がんストレスの軽減を「五感」を通じて和んでもらえるような取り組みをおこなっています。

例えば、レストランで、ある「いいな、美味しいな、思ったより安かったな」と思う瞬間があったなら、その一瞬は「嫌だな、不安だな」という思いを忘れることができます。病院のすべてのサービスを通して、気分の落ち込んでいる患者さまが「いいな、ええことあったな」とプラスの気分になり、マイナスな気分を軽減して少しでもポジティブになってもらえるような病院であることが、当センターのコンセプトです。患者さまの気持ちを前向きにできる試みを、できる限りは全てやっていきます。

そのため、健常者や病院建設に関わる役所などの方々には理解を得にくいようなサービスも提供していますが、これらは全て患者さまの気分を明るくするために必要で大事なものだと考えて提供しています。 そのサービスは「笑い」「絵画」「音楽(コンサート)」というもので提供されていますが、単にどこかの誰かにボランティアで頼むようなレベルものではなく、有名、本物、一流といえる感性にきちんと訴えるようなものを提供しています。 これまでに漫才の桂文鎮師匠などもお招きして高座を行っていただき、患者さまに病院にいながら本物の笑いを届けています。この一流、本物のサービスという点で、KooNeのハイレゾ音がそれに値するととらえ、そして、そのKooNeの自然音に一瞬でも気を取られて、患者さまのマイナス思考が軽減されることを願って導入しました。

●KooNeに対する導入後の変化や、KooNeに関する要望などありましたらお聞かせください。

私自身は、朝早くに出勤することが多いため、このKooNeを導入した1階の受付エリアを通るとき、朝の森の爽やかさを感じることがあります。 同じような経験を話しているセンターのスタッフもいるようです。 ただ、患者さまに対してまだ直接このKooNeについて感想などを聞いたことがないので、ぜひアンケートなどをとって、患者さまがどのような印象をもっているのか今後聞いていけたらと思っています。
また、このシステムは施設向けになっているためある程度の重装備ですが、ハイレゾのいい音源で、多くの人がこれを体験できたほうがいいのだろうから、個人向けのシステムも今後いろいろな視点で開発、提供されていくといいのではないかと思います。

●大阪国際がんセンターのこれからの取組について教えてください。

先ほどの話と重複するところもありますが、これまでの病院と大きく変化をした“患者さま目線”の病院でありたいと思っています。
診療の待ち時間について患者さまは長く待つことになるほど、その時間分不安と向き合うことになります。待つ時間が1分と60分では、その精神的負担がかなり違います。そのため、治療現場においては、できるだけ無駄な悩みを削ぐことを念頭に診察時間を短くする努力をしておりますが、それでも限界はあります。その限界まで頑張ってさらに、こぼれる分を何かに置き換え、少しでも患者さまの精神的負担を軽くする方法を、今後も考え提供していきたいと思っております。 当センターの職員が「自分事」として「患者さま」に対するセンターの在り方を明確に捉え、もっと深く考えることで、今よりも前進し患者さまにとって環境の良い病院であり続けられるよう取り組んでいきます。

■インタビュー後記■

これまでの一般的な病院とは一線を画し、本当に患者様の立場になって親身に病院環境の改善に取り組まれていることに敬意の念をいただきました。 数ある音響システムの中から、KooNeを選んでいただきましたことに感謝申し上げます。多くの患者様に少しでも心地よさを感じていただくことにKooNeがお役に立てることを望みます。

Interviewer:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント エンタテインメント・ラボ 岡崎早苗