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全社的リスクマネジメント


基本的な考え方と取り組み


リスクマネジメント体制

JVCケンウッドグループでは、自社を取り巻く事業環境において、多様化・複雑化するさまざまなリスク※1に対応するため、最高経営責任者(Chief Executive Officer)の責任のもと、リスクマネジメント体制を整備し、全社的に取り組むべきリスクの低減を図っています。

また2023年度より、TCFD提言に沿った気候変動リスクへの取り組みを推進するため、移行リスク※2および物理的リスク※3をリスクカテゴリに追加し、他のリスクと同様に定期的な評価と進捗管理を実施しています。具体的な対策については、以下をご参照ください。

気候変動への対応

※1 為替変動、国際税務、地政学リスク、新興国リスク、大規模災害、調達、知財訴訟等に加え、近年リスクとして認識が高まりつつある人権問題、情報セキュリティ、気候変動リスクなど多岐にわたるリスクが対象となります。

※2 移行リスク:低炭素社会に移行する際に発生するリスク

※3 物理的リスク:気候変動による物理的変化により発生するリスク


当社グループのリスクマネジメントプロセスは以下のサイクルで運営しています(下図参照)。

①最高経営責任者(Chief Executive Officer、略語:CEO)が主宰し、リスク管理担当役員を議長、議長が指名した役員および本社部門長を構成員として設置される全社リスク管理会議を設置、各事業部・地域が洗い出した「事業拠点リスク」と経営課題・事業課題を踏まえ、経営への影響度や緊急性、インシデント発生状況などを勘案して選定したリスク課題を「最優先で取り組むべきグローバル重要リスク」と位置付けリスク解決に向けた施策を策定し、経営層レベルによる全社的視点での取り組みとして当該リスク管掌担当役員を対応推進責任者に指名します。

②重要リスク対応推進責任者は、連結会計年度の事業達成へ向けて「グローバル重要リスク」に対する施策を各事業部・地域に落とし込んで改善するサイクルを実施し、その進捗をモニタリングします。

③当社グループの全部門は毎年リスクサーベイランスを行い、各事業部・地域において事業の現場で直面するリスクを洗い出して「事業拠点リスク」と位置付け、影響度・発生頻度および対応状況を踏まえた評価を行うとともに、対応策を策定し実行します。また、施策進捗をモニタリングし改善するサイクルをそれぞれの部門で回します。


リスクマネジメント体制図


リスク評価によるマッピングとその対策

リスクサーベイランスで抽出したリスクは、全社リスク管理会議にて「影響度」および「緊急度」と「対応レベル」に応じて分類し、総合的に評価およびマッピングすることで、以下のように整理しています。

  • 対策リスク:対応実施計画を策定し、回避するリスク(下表①~⑫)
  • 監視リスク:抑止、移転するリスク
  • 記録リスク:保有するリスク

  影響度
(損失例)
× 緊急度 対応レベル
5 重大
10億円以上
  緊急
1年以内
  対応できている
4 深刻
1億円以上
  短期
3年以内
  大体対応できている
3 標準
1,000万円以上
  中期
5年以内
  ある程度対応できている
2 軽微
100万円以上
  中長期
10年以内
  多少対応できている
1 無視
100万円未満
  長期
10年より先
  対応できていない
  対策リスク
影響度 5 監視リスク   ①⑦⑧
4 ③⑤⑥ ②④
3   ⑩⑪  
2 記録リスク 監視リスク
1
  1 2 3 4 5
緊急度

中でも当社グループにとって影響度と緊急度ともに高く、対応実施計画を策定して回避しなければならないリスクを対策リスクとして分類しており、2024年度の全社リスク管理会議では、合計12の対策リスクを特定しました。対策リスク以外の、抑止、移転が可能なリスクは監視リスク、影響は軽微なものの保有するリスクは記録リスクとして管理しています。


当社グループのグローバル重要リスク

2024年度~2025年度は以下の表のとおり対策リスクを特定しています。さらに全社リスク管理会議において、特定した対策リスクから経営課題や事業課題を踏まえ、極めて重要なリスクを「グローバル重要リスク」として抽出し、その他の対策リスクとともに対応策を策定しています。グローバル重要リスク(下表①、⑦、⑧)は、昨年度から引き続きの項目である情報セキュリティの強化に加え、法規制・社会的要請への対応、システム稼働を選定、管掌役員を責任者として任命し、それらのリスクへの対応状況は取締役会にも報告され、適切に管理・監督されています。

リスク項目 影響度 緊急度 リスク評価 対応策
事業環境の変化 法規制・社会的要請への対応 5 5 重要リスク 各国で施行される各種規制・法令に対し社内横断的なプロジェクト体制を取って対応。軸となる内部統制整備の強化も並行して進める
サプライチェーンマネジメントの変化 4 5 対策リスク 開発バックアップや取引先の複数確保、BCP在庫の保有、汎用部品の採用、仲介業者の活用による在庫確保などの対策によりコスト悪化や国内外の生産工場の活動停止を防止。これらを経営管理および日常管理のサイクルまで落とし込んで対応
経済変動や嗜好の変化 4 4 対策リスク 変化をモニタリングし、日常のオペレーション対応からコンティンジェンシープランの実施まで、リスク規模に合わせて対応
為替変動 4 5 対策リスク 為替予約など、ヘッジ取引を実施
技術革新 4 4 対策リスク 変化する市場環境、社会的要請、技術トレンドなどを踏まえた技術開発や製品化ロードマップの適時改訂と、技術者の人材能力育成の計画的な実施
急速な業界進化・変貌 4 4 対策リスク 独自の製品・サービスの開発を推進し、業界変化に左右されないポジションを確立
事業オペレーション 情報セキュリティ 5 5 重要リスク サイバーセキュリティ対策強化に係る政府要請も踏まえ、当社セキュリティ体制を明確にするため最高情報セキュリティ責任者(CISO)管掌下に「JKCIRT/CC」を設置し、当社グループの情報資産や、世界各国のお客さまをはじめ、取引先、株主、当社グループ従業員などのステークホルダーからお預かりした情報資産を守るセキュリティ体制を強化
システム稼働 5 5 重要リスク データセンターやSaaS(Software as a Service)システムの高度なセキュリティ対策と冗長化されたインフラ構築に加え定期的なデータバックアップを実施
品質問題 5 4 対策リスク 企画・開発・生産の各工程で、品質を重視した各プロセスの基準遵守と有効なフェーズゲートを設けて品質に問題が生じないように徹底したチェックを実施。全社的にも新機種の製品安全評価、重要安全部品管理強化、製品安全マネジメント体制の再構築(PL情報のデータベース化など)、品質向上と安全性確保に向けた設計評価とノウハウの全社共有を推進
人材の喪失・不足 3 4 対策リスク 「新卒採用の拡充」、「中途採用の多角的実施」などにより、多様な人材を確保するとともに、従業員の育成体系を整備してキャリア開発を促進し、働き方改革との相乗効果で、従業員の定着と年齢構成の適正化、リバランスを推進
他社との業務提携 3 4 対策リスク 業務提携におけるリスクや当社グループとの相乗効果の可能性などの十分な分析と検討
災害など 自然災害・パンデミック・人的災害 4 3 対策リスク 危機対応を想定した各種マニュアルを整備し、有事に備えて防災訓練、事業継続計画訓練、安否確認訓練を実施するなど、事業継続や災害からの早期復旧と、生産・出荷・サービス提供の迅速な再開など、事業継続マネジメントを推進

※:Product Liability(製造物責任)


事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)

事業継続計画(BCP)の基本方針

非常事態発生後の速やかな事業活動の回復により、事業の継続を通じて社会の安心・安全に貢献する。


JVCケンウッドグループでは、例として以下のようなリスクを想定し、BCPを策定しています。

自然災害 自然災害については、大規模な地震が発生し、国内における複数の事業所が同時に被災する状況を想定したBCPを策定しており、関連した規程、マニュアルによって、本社災害・事故対策本部の設置や、被災時の対応等におけるルールを定めています。また被害想定地域を対象とした参加型の訓練を実施しており、訓練から得られた課題をもとにルールやBCPの見直しを行うことで、災害発生への備えを継続的に強化しています。
感染症 感染症については、インフルエンザ、新型コロナウイルス等に代表される、あらゆる感染症のパンデミック発生時を想定したBCPを策定しており、各事業場における感染症発生時における従業員・来場者等の対応をまとめ、安心・安全を確保するために、感染症対策マニュアル等の整備および、それをもとにした各種感染拡大防止策を実施しています。2020年以降の新型コロナウイルス感染症の流行から得た教訓を生かし、各種マニュアルやBCPの見直しを行うことで、感染症発生前の平常時ならびに、発生後に的確かつ迅速な対応を図るための危機管理体制を整備しています。
海外拠点における事業活動 JVCケンウッドグループは海外に複数の事業拠点を有していることから、テロ行為や暴動、紛争といったさまざまなインシデント、緊急事態の発生時を想定したBCPを策定しており、海外における人の安全への備えのためのマニュアル等を整備し、また定期的に本社人事部、リスクマネジメント担当部門と、現地の生産拠点・販売会社と共同で机上退避訓練を実施しています。また訓練から抽出された課題をマニュアル等で整理することで、インシデント発生時への備えを継続的に強化しています。実際に発生したロシアーウクライナ危機においては、初期段階で円滑な国外退避を実行することができました。

国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)の取得


国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)登録証
(2017年3月31日取得、2025年3月31日更新)


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