サイト内検索

リリース

NEWS RELEASE

2021年11月26日


HCS Pharma社との販売提携により
創薬の開発に寄与する「3D細胞培養用マルチウェルプレート」の取り扱いを開始



株式会社JVCケンウッドは、創薬の開発に寄与する「3D細胞培養用マルチウェルプレート」に関する日本およびアジアの一部地域における販売について、フランスの新興企業である HCS Pharma(以下、「HCS社」)と販売提携契約を締結しました。
このたびのHCS社との提携により、当社は創薬関連領域でのバイオ製品の展開を図るとともに、バイオテクノロジー市場において検体検査用バイオデバイスおよびエクソソーム計測システム「ExoCounter(エクソカウンター)」と融合を図っていくことで、未病から早期の診断支援に関する事業展開を目指します。

<3D細胞培養用マルチウェルプレート>


<HCS社の「3D細胞培養用マルチウェルプレート」について>

創薬の開発において、非臨床試験段階における薬効および毒性の検討は「In Vitro 試験※1」で行われます。これらの試験は、人体とは条件が異なる2D細胞培養システムで行われることが多く、薬剤としての特性の予測が不十分な場合がありました。このたび当社が販売提携したHCS社の「3D細胞培養用マルチウェルプレート」は、同社独自のBIOMIMESYS技術により、人体器官に近い条件による細胞の培養を可能にします。3D培養した細胞をIn Vitro 試験に用いることで、これまでより高精度な試験を実施できることから、創薬の開発に寄与することが見込まれます。3D細胞培養の全世界市場規模は2020年の約1,500億円から2027年に約4,000億円と年平均成長率15%※2で拡大すると予想しており、技術と市場の両面で大きな期待が寄せられています。

※1:試験管の中で行う試験で、培養した細胞などを用いて薬物の反応を検討することが可能。

※2:当社調べ。

<細胞モデルの違い(左:既存2D 右:HCS社3D)>


<当社ヘルスケア製品の活用について>

当社は、強みである微細加工や光学ディスクの技術を転用・応用することで、検体検査用バイオデバイスや、エクソソーム※3 を高精度に定量測定できる「ExoCounter」などをバイオテクノロジー市場において展開しています。「がん患者の血液中エクソソーム測定法に関わる共同研究」(2017年10月16日広報発表)、および「英国オックスフォード大学および Sysmex R&D Center Europe GmbH とエクソソームを用いた妊娠高血圧腎症の発症予測システムの確立に向けた共同研究」(2019年6月18日広報発表)といった研究を外部のビジネスパートナーと共同で推進。これらの技術を、幹細胞を用いた再生医療領域で活用することで、未病から早期の診断支援のみならず治療領域での貢献を目指します。

なお、HCS社製品の販売については、先進的な商品・情報・ロジスティックスで研究・産業・医療分野に多様な販売ネットワークを持つアズワン株式会社との連携を通じて展開を始めます。

※3:体液中に多く存在する細胞外小胞(EVs)の一つ。


<HCS社について>

HCS社は、創薬研究で応用が進む細胞を用いたハイコンテントスクリーニング(HCS)の領域で、独自のBIOMIMESYS技術に基づいてさまざまな業界に向けた3D細胞培養製品を開発・販売する新興企業です。BIOMIMESYS技術は、目的とする細胞の培養に最適なECM(細胞外基質)の環境を提供することで、生体内の組織を模倣する3D細胞培養を可能とします。3D培養された細胞を用いることで、創薬スクリーニングにおける生物学的信頼性の向上と開発期間の短縮により、コスト削減効果が期待されます。この革新的な独自技術により、HCS社は hello tomorrow※4 によってディープテックのパイオニアとして認められました。更に、2020年ヨーロッパ投資ホライズンプログラム※5 によってディープテック企業 ”TOP43” にランクインしています。

※4:ディープテックの研究や起業の促進、スタートアップ企業の発掘、起業家と投資家間のサポートなどを行う組織。

※5:Eurekaと共同で欧州委員会が資金提供するプログラム。選ばれたディープテック企業への資金提供を促進し、投資の準備と投資家との関係強化などを目的とする。



本資料の内容は発表時のものです。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。