「映像」と「音声」の低遅延伝送による
芸術系オンライン授業システムの実証実験(ヴァイオリン遠隔レッスン)を実施
株式会社JVCケンウッドは、2022年3月まで当社がプロジェクトリーダーを務めていた、東京藝術大学を拠点とするCOIプログラム「『感動』を創造する芸術と科学技術による共感覚イノベーション※1」を通じた取り組みの一つとして、同COIの参画企業であるヤマハ株式会社(以下、「ヤマハ」)と、「映像」と「音声」の低遅延伝送による芸術系オンライン授業システムの共同開発契約を締結(2021年11月17日発表)。このたび、同システムの実現に向けたヴァイオリン遠隔レッスンによる実証実験を実施しました。離れた2拠点間の映像と音声を双方向に伝送することで遅延や画質、音質について検証し、低遅延遠隔レッスンの有効性と課題を確認しました。
< システム概要図 >
■ 実証実験の概要
今回の実験は、ヴァイオリニストの澤和樹(さわ かずき)先生と、吉川采花(よしかわ あやか)氏による遠隔レッスン形式で実施。凸版印刷株式会社(以下、「凸版印刷」)の「TOPPAN DIGITAL SANDBOX🄬 HONJO※2」(東京都墨田区)と「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI🄬 ※3」(東京都千代田区)を、株式会社ブロードバンドタワー(以下、「ブロードバンドタワー」)の専用ネットワーク回線で接続し、当社とヤマハの共同開発による低遅延伝送装置を介して、離れた2拠点間の映像と音声を双方向に伝送しました。「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI🄬」では、大画面モニターに遠隔の生徒を等身大で映し出し、臨場感ある体験を提供しました。
映像と音声の遅延は、伝送装置の送受信による遅延時間(約50ms)に加え、ビデオカメラ内部での映像信号処理の過程でも発生しますが、本実証実験では、このビデオカメラ内部の遅延を極限まで抑えて低遅延伝送に最適化することにより、伝送全体の遅延量削減を実現しました。さらに、両拠点をネットワーク経由で同期することで、高品質な映像と音声の長時間伝送を可能にしました。当社は本実証実験により、低遅延遠隔レッスンにおける本システムの有効性と、レッスン内容ごとに異なる最適な遅延量や没入感の課題について確認しました。
※2: 凸版印刷がローカル5G基地局や高速通信などを扱う実験施設。
※3: 凸版印刷の共創スペース。
< 生徒(「TOPPAN DIGITAL SANDBOX🄬 HONJO」)>< 先生(「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI🄬」)>
■今後の展開
当社は、本実証実験で得た知見を生かして、今後も高品質な映像と音声の双方向低遅延伝送システムの実現に向けて開発を継続していきます。そして、芸術系オンライン授業はもとより、それ以外での活用も視野に入れ、誰でも手軽に自宅や教室で、高画質かつ超低遅延な双方向コミュニケーションを実現するオンライン遠隔システム環境の実用化を目指します。
当社は、本取り組みを、2021年5月に策定した中期経営計画「VISION2023」における新たなIoTプラットフォームサービス事業への展開に向けた中核的な技術開発の一つとして位置付けています。メディアサービス分野において新規領域として取り扱う「リモートシステム」を構成する低遅延コーデックやマルチカメラ同期技術の適用に加え、凸版印刷やブロードバンドタワーとの共創によって人と時空をつなぐ次世代事業への展開を図り、事業領域の拡大と新たな提供価値の創出を目指します。
本資料の内容は発表時のものです。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
※1: 文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」に採択されたプロジェクトで、当社と東京藝術大学がDX(デジタルトランスフォーメーション)におけるイノベーションの創出を目的に推進。