生物の生息環境の悪化や生態系の破壊に対する懸念の深刻化が進む中、自然と共生する世界の実現に向けてより効果的かつ迅速な取り組みが求められています。2022年12月に採択された新たな枠組みGBF(Global Biodiversity Framework:昆明・モントリオール生物多様性枠組)においては、その前身である愛知目標の未達を教訓に、企業や金融等の参画をより強く求める内容となりました。国内外で生物多様性の保全に関する枠組みが強化される中、企業の役割の重要性も増しており、生物多様性に配慮した事業活動の実施や生物多様性の保全に関した計画的な取り組みが求められています。
JVCケンウッドグループは、環境基本方針「JKグリーン2030」に基づき、以下の生物多様性に関する目標を設定しています。この目標は、気候変動への対応、資源の有効活用、その他の環境保全・管理にかかる活動を通じて達成を目指していきます。
事業活動が与える生物多様性への影響を最小限に留め、保全に取り組むことの重要性を認識し、行政や専門家、地域の方たちと連携しながら、国内外の事業所の近隣地域における保全活動に取り組んでいます。
JVCKENWOOD Optical Electronics (Thailand) Co., Ltd.(タイ)は、5回目の取り組みとして、カオヤイ国立公園で野生動物がミネラルを摂取するための塩なめ場作りを行いました。89名の従業員が参加して2つの塩なめ場を作り、野生動物の保全に協力しました。
JVCケンウッドグループは、各拠点において植林や森林保全の活動に取り組んでいます。豊かな植生や生態系の維持とともに、今後も生物多様性の保全に寄与していきます。
植林活動
Shinwa Industries (China) Ltd. / Huizhou Shinwa Optical Co., Ltd.
森林整備活動
JVCケンウッド山形
植林活動
JVCKENWOOD (China) Investment Co., Ltd.
Beijing JVCKENWOOD AV Equipment Co., Ltd.
JVCKENWOOD Trading (Shanghai) Co., Ltd.
JVCケンウッド・デザインでは、日本の森の環境音のライブ配信、Forest Notesの運営を行っていますが、2023年6月から新しいライブ配信の地域として知床斜里町を追加しました。また、知床サスティナブルフェスへの参加を機会として、夜に活動する動物たちの様子を観察する赤外線ライブカメラを設置しました。2020年から設置している360°ライブカメラと合わせて、知床財団の賛助会員の皆さんへの限定公開とし、貴重な映像をお届けしています。これらの活動は、地域の生態系や自然環境を保全している公益財団法人知床財団との連携によるもので、Forest Notesの公式サイトを通じて世界有数の生態系の密度を誇る知床地域の魅力を発信しています。また、次世代の自立型環境カメラ・センサーの開発も目標としていて、世界自然遺産区域内の過酷な自然環境下で活動するスタッフの皆さまの意見を参考に、調査、観察による生態系の理解と保全、野生動物との事故や軋轢を解消することを目的に共同研究しています。
撮影されたシカ
ライブカメラ設置風景
JVCケンウッドは、2006年より本社・横浜事業所内に「共存の森」と位置付けたビオトープ(緑地と止水池)を設置し、お客さまや従業員の憩いの場として活用しています。その後、横浜市環境創造局が進める「京浜の森づくり事業」の一環として活動する「トンボはドコまで飛ぶかフォーラム」の主旨に賛同し、ビオトープを「トンボ池」として整備し、京浜臨海地区の企業の一員として、地域社会と共に持続的な環境保全活動に取り組んでいます。
2023年度も引き続き池の整備やトンボ調査を行い、3日間で延べ17人の従業員が参加しました。事業所の生態系調査を毎年実施しており、これまでの調査でトンボ以外にもコオイムシやタヌキモなど累計15種の生きものや植物等が確認されています。今後も生物多様性を保全するためのモニタリング調査や従業員の環境への意識を高める活動を継続して行っていきます。
採取されたクロスジギンヤンマ
トンボ池
また、2018年よりビオトープエリアの樹木に野鳥の巣箱も設置しており、営巣と雛の孵化が見られ、無事に巣立ちをした形跡も確認されています。
2024年に巣箱も更新して、引き続き野鳥やほかの生きものなど、地域の生態系を支え、そのつながりを充実させることに貢献します。
取り付けられた巣箱
巣箱2号
巣箱の雛に餌を与える親鳥
共存の森