JVCケンウッドグループは、グローバルでのCO₂排出量の削減の中長期目標として、以下を掲げています。
■事業活動に伴うCO₂排出量削減
■購入した製品、輸送、販売した製品の使用による排出量削減
目標達成に向けた活動として、事業所における電力の使用量監視、高効率の生産・空調機器への更新、LED照明等の設備導入を進めており、従業員への環境教育にも力を入れています。また、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)会員として経団連の低炭素社会実行計画にも参加しており、CO₂総排出量の削減のみならず、エネルギー原単位の改善にも取り組んでいます。2019年には、環境省主催の「インターナルカーボンプライシング活用支援事業」に参加しており、社内における炭素コストの意識付けに向けた活動を開始しました。(詳細は環境省ホームページをご覧ください)
JVCケンウッドグループでは、サステナビリティ推進室が主体となりTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やSBT(科学的根拠に基づく目標)を含む、関連情報の収集や目標設定の議論を深めています。今後も、適切な目標設定、管理と情報開示等により、着手可能な施策から随時取り組みを進めていく予定です。
JVCケンウッドグループは、2018年4月に、取締役会監督のもと担当役員(2021年6月以降は取締役)を置き、その傘下にサステナビリティ推進室を設置し、気候変動を含むサステナビリティ推進戦略を迅速に実行するための体制を整備しました。サステナビリティ推進室は、気候変動対策推進とその進捗管理の全社的な調整を行い、関連部署と連携し、マテリアリティ(重要課題)やKPIs(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)の定期的な見直しや、気候変動による事業への潜在的な影響についての調査・情報収集、サステナビリティ関連情報の開示拡充に取り組んでいます。気候変動に係るサステナビリティ推進戦略については、その進捗を取締役社長が議長を務める環境会議にて定期的に報告し、更なる気候変動対応の推進に向けて、議論や意思決定を行います。同内容は取締役会においても定期的に報告され、取締役会には必要に応じて議案を上程する仕組みとなっています。尚、2020年度の環境会議、および、取締役会では、主に新環境基本方針(JKグリーン2025)の策定に向けた議論、報告が行われました。
JVCケンウッドグループは、TCFD提言に沿って「2℃以下シナリオ」を含む複数のシナリオを考慮の上、気候変動に関するリスクと機会について分析を行っていきます。自然災害の激甚化による物理的なリスク、そういった被害を軽減するために導入される各種規制から生じる移行リスクのみならず、脱炭素に貢献する製品需要拡大、省エネ・省資源に伴うコスト低減など、JVCケンウッドグループの更なる成長に寄与する機会の検討など、今後詳細な分析結果を開示していく予定です。
JVCケンウッドグループでは、職場と経営層が協働して取り組むリスクマネジメントとして、全世界の職場でリスクサーベイランスプロセスを毎年実施しております。リスクサーベイランスにおけるリスク項目の中には自然災害リスク等が含まれており、気候変動に関連する事項も含めてリスクの特定、評価、管理を行っています。リスクサーベイランスプロセスの詳細は全社的リスクマネジメントをご覧ください。
JVCケンウッドグループ全体におけるCO₂総排出量(Scope1および2)は、直近6か年において、おおよそ減少傾向にあります。2020年度は目標値である69,000tを下回る38,315tに排出量を抑えています。(CO₂排出量については、2020年度までに2012年度比で毎年1%削減する目標を掲げていましたが、これは達成したことになります。今年度からは前述の新環境基本方針(JKグリーン2025)に沿った、新しい削減目標達成に向けて取り組みを進めていきます。)
CO₂排出量の推移(2012-2020年度)
注1:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
単位:千t/億円
2012年度 | 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
売上高 原単位 |
0.024 | 0.018 | 0.021 | 0.018 | 0.017 | 0.016 | 0.016 | 0.015 | 0.014 |
注1:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
CO₂排出量の推移 *新環境基本方針(JKグリーン2025)
注1:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
単位:千t
|
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
---|---|---|---|
Scope1 |
1.20 |
1.27 |
1.06 |
Scope2 |
47.12 |
43.48 |
37.26 |
合計 |
48.32 |
44.75 |
38.32 |
注1:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
尚、CO₂以外の温室効果ガスについては、以下について把握しています。
CO₂以外の温室効果ガス排出量(2018-2020年度)
単位:千t
|
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
---|---|---|---|
ハイドロフルオロカーボン |
0.140 |
0.084 |
0.099 |
パーフルオロカーボン |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
注1:集計対象範囲は「国内事業所および国内生産会社」を参照
事業所別CO₂排出量 (2018-2020年度)
単位:千t
国内/海外 | 事業所名 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
---|---|---|---|---|
年度目標 | 70.5 | 69.8 | 69.0 | |
日本 |
本社・横浜事業所 | 3.2 | 3.1 | 2.9 |
八王子事業所 | 2.1 | 1.8 | 1.6 | |
白山事業所 | 1.2 | 1.0 | 1.1 | |
久里浜事業所 | 3.1 | 3.2 | 3.3 | |
横須賀事業所 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | |
JVCケンウッド山形 | 0.6 | 0.5 | 0.5 | |
JVCケンウッド長野 | 1.1 | 1.1 | 0.9 | |
JVCケンウッド長岡 | 1.0 | 1.1 | 1.2 | |
JVCケンウッド・クリエイティブメディア | 6.1 | 5.7 | 5.5 | |
JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント | 0.9 | 1.0 | 0.8 | |
JVCケンウッド・ビデオテック | 0.2 | 0.1 | 0.1 | |
JVCケンウッド・デザイン | 0.0 | 0.0 | 0.0 | |
その他関係会社 | ー | ー | ー | |
マレーシア | JVCKENWOOD Electronics Malaysia Sdn. Bhd. | 2.8 | 2.8 | 2.9 |
タイ |
JVCKENWOOD Electronics (Thailand) Co., Ltd. | 3.3 | 3.1 | 1.1 |
JVCKENWOOD Optical Electronics (Thailand) Co., Ltd. | 3.5 | 3.1 | 2.2 | |
インドネシア | PT. JVC Electronics Indonesia | 10.5 | 10.2 | 8.1 |
中華人民共和国 | Shanghai Kenwood Electronics Co., Ltd. | 6.9 | 5.3 | 5.1 |
シンガポール | JVCKENWOOD Technologies Singapore Pte. Ltd. | 1.3 | 1.2 | 0.6 |
総合計 | 48.3 | 44.7 | 38.3 |
原材料調達、製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの、企業活動のさまざまなプロセスにおける間接的なCO₂排出量を算出しています。排出量算定においては、環境省および経済産業省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に従い、その実績を集計しています。今後も部品点数の削減やライフサイクルアセスメントの活用による省電力製品の開発等を通して、CO₂排出量の削減に取り組んでいきます。
Scope3におけるCO₂排出量(2020年度) 算定対象期間:2020年4月~2021年3月
カテゴリ | 算定結果 (千t-CO2e)[割合] |
算定概要 | |
---|---|---|---|
2020年度 | |||
1 | 購入した製品・サービス | 298.2[59%] | 原材料・部品および購入した物品に伴う排出量 |
2 | 資本財 | 19.3[4%] | 設備投資に伴う排出量 |
3 | Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー活動 | 5.0[1%] | エネルギーの調達に伴う排出量 |
4 | 輸送、配送(上流) | 51.3[10%] | 原材料・製品の輸送に伴う排出量 |
5 | 事業から出る廃棄物 | 0.6[0%] | 事業活動による廃棄物に伴う排出量 |
6 | 出張 | 0.4[0%] | 従業員の出張に伴う排出量 |
7 | 雇用者の通勤 | 2.0[0%] | 従業員の通勤に伴う排出量 |
8 | リース資産(上流) | ー | 算定対象外 |
9 | 輸送、配送(下流) | ー | 算定対象外 |
10 | 販売した製品の加工 | ー | 算定対象外 |
11 | 販売した製品の使用 | 128.6[25%] | 販売した製品の想定される電力消費に伴う排出量 |
12 | 販売した製品の廃棄 | 1.5 [0%] | 販売した製品の想定される廃棄処理に伴う排出量 |
13 | リース資産(下流) | ー | 算定対象外 |
14 | フランチャイズ | ー | 算定対象外 |
15 | 投資 | ー | 算定対象外 |
合計 | 506.8 |
注1:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
CO₂総排出量(2020年度 Scope1+Scope2+Scope3)
前述のリスクサーベイランスプロセスでは自然災害リスクの確認も行っており、確認したリスクに対しては、危機対応を想定した各種マニュアルを整備し、有事に備えて防災訓練・事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)訓練、安否確認訓練を実施し、日頃から役員・従業員の防災意識向上に取り組んでいます。
また自然災害に関しては、JVCケンウッドグループの海外生産会社6社は洪水が頻繁に発生する中国・東南アジアに立地しており、洪水等による設備の損害や操業停止リスクが確認されています。当該リスクに対し、開発のバックアップや調達の停止リスク回避を考慮した複数の地域による生産および複数社購買を進め、リスクが低い国や地域からのサプライチェーン調達、部品や製品の輸送を行っています。また、BCP在庫の保有、仲介業者活用による在庫確保などの対策を講じ、急なコストの悪化や、当社グループの国内・海外の生産工場における製造活動の停止等が起こらぬよう、対策を講じています。
JVCケンウッドグループは、気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative : JCI)のメンバーとして気候変動に関わる情報交換や政策提言の支援を行っています。JCIはパリ協定が求める脱炭素社会の実現に向け、世界と共に挑戦の最前線に立つことに賛同した企業や自治体、NGOなどによるネットワークで、政府による温暖化ガスの削減戦略に対する働きかけや気候変動に係る国際会議等で意思表明などを行っています。JVCケンウッドグループは、JCIが掲げる宣言「脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する」に賛同し、「温室効果ガス排出削減に関する日本政府の公的なコミットメントを超えた積極的な役割を果たし、2℃未満目標の実現に向けた世界のトップランナーとなる」という内容に沿って、生産工程の省エネルギーをはじめとする取り組みを強めていきます。
また、JVCケンウッドグループは、家電製品協会(AEHA)にも加盟しています。AEHAは、家電製品に共通する諸問題を総合的に捉え、調査・研究と政策の立案、実施を行っている団体です。日本では家庭でのエネルギー消費が増加傾向であるため、節電とともに省エネ家電を使用することが地球温暖化のために有効であることを、消費者向けに周知し、温暖化防止の取り組みを推進しています。JVCケンウッドグループは、この方針に賛同し、AEHAの理事として「理事会」「環境役員担当会議」の部会に参加しています。加えて、関連する委員会として「省エネルギー対策委員会」「家電リサイクル委員会」「容器包装リサイクル委員会」等の会合に参加し、提案・意見交換等を行っています。尚、意見交換等の結果、AEHAの方針とJVCケンウッドグループにおける方針が異なると判断された場合には、改めて該当する方針については検討することとしています。
詳細はAEHAホームページをご覧ください。
(※カテゴリー1:原材料・部品および購入した物品に伴う排出量、カテゴリー4:原材料・製品の輸送に伴う排出量、カテゴリー11:販売した製品の想定される電力消費に伴う排出量)