JVCケンウッドグループは、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しております。
詳細は、気候関連財務情報開示タスクフォース サポーターをご覧ください。
気候変動問題は重要な経営課題であり、JVCケンウッドグループは、調達、製品開発、製造、製品・サービスの提供といったバリューチェーン全体を通じて、気候変動がもたらすグループへの影響の回避・低減に取り組みます。
そのためには気候変動問題の緩和に貢献し、適応する取り組みが重要です。JVCケンウッドグループは、Scope1+2, Scope3カテゴリーのCO₂排出量削減や、生産工数の削減や省エネ機器導入等を通したエネルギー利用の削減に取り組みます。
グローバルでのCO₂排出量の削減の短・中・長期目標として、以下を掲げています。
■事業活動に伴うCO₂排出量削減
■購入した製品、輸送、販売した製品の使用による排出量削減
目標達成に向けた活動として、事業所における電力の使用量監視、高効率の生産・空調機器への更新、LED照明等の設備導入を進めており、従業員への環境教育にも力を入れています。また、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)にも参加しており、CO₂総排出量の削減、エネルギー原単位の改善についての連携や情報収集も行っています。2019年には、環境省主催の「インターナルカーボンプライシング活用支援事業」に参加しており、社内における炭素コストの意識付けに向けた活動を開始しました。(詳細は環境省ホームページをご覧ください)
JVCケンウッドグループでは、サステナビリティ推進室が主体となりTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やSBT(科学的根拠に基づく目標)を含む、関連情報の収集や目標設定の議論を深めています。今後も、適切な目標設定、管理と情報開示等により、着手可能な施策から随時取り組みを進めていく予定です。
JVCケンウッドグループは、「気候変動への対応」をサステナビリティ推進戦略における重要な課題の一つとして認識しています。具体的には取締役会による監督のもと、取締役を兼務する担当執行役員を置き、2018年4月にサステナビリティ推進室を設置し、気候変動を含むサステナビリティ推進戦略を迅速に実行するための体制を整備しました。サステナビリティ推進室は、気候変動対策推進とその進捗管理の全社的な調整を行い、関連部門と連携し、マテリアリティ(重要課題)やKPIs(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)の定期的な見直しや、気候変動による事業への潜在的な影響についての調査・情報収集、サステナビリティ関連情報の開示拡充に取り組んでいます。加えて、社内における気候変動に関する問題意識の醸成や理解促進に向け、関連各部署と積極的なコミュニケーションを図りながら、事業とサステナビリティを結び付ける取り組みを主導しています。
また、気候変動問題に対応するガバナンス体制として、2023年度より気候変動問題への対応を含む、サステナビリティ全般についての推進主体組織である「サステナビリティ委員会」をCEO直轄組織として設置し、脱炭素化に向けた戦略の策定や施策の検討を行います。同委員会は、毎年2回の定例開催に加え、必要に応じて臨時開催し、議論の内容は執行役員会や取締役会に報告します。また、「サステナビリティ委員会」の下部組織として、テーマごと(気候変動については環境部会)に担当役員を責任者とする専門部会を設置し、それぞれのテーマの課題の抽出、目標や実施計画、具体的対応等を協議し、推進していきます。取締役会は、これらの委員会、会議を監視、監督し、意思決定を行います。
※1:M&T(モビリティ&テレマティクスサービス)、※2:S&S(セーフティ&セキュリティ)、※3:ES(エンタテインメント ソリューションズ)
JVCケンウッドグループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿って「1.5℃シナリオ」を含む複数のシナリオを考慮の上、気候変動に関するリスクと機会について分析を行っていきます。自然災害の激甚化による物理的なリスク、被害を軽減するために導入される各種規制から生じる移行リスクに対して、脱炭素に貢献する製品展開の拡大、省エネ・省資源に伴うコスト低減等の検討や、当社のさらなる成長に寄与する機会の検討を進める予定です。
JVCケンウッドグループでは、職場と経営層が協働して取り組むリスクマネジメントとして、全世界の職場でリスクサーベイランスプロセスを毎年実施しております。リスクサーベイランスにおけるリスク項目の中には自然災害リスク等が含まれており、気候変動に関連する事項も含めてリスクの特定、評価、管理を行っています。リスクサーベイランスプロセスの詳細は全社的リスクマネジメントをご覧ください。
JVCケンウッドグループ全体における事業活動に伴うCO₂総排出量(Scope1+2)は、2014年度以降減少傾向にあります。現在、JKグリーン2025短期/中期目標として掲げる「2025年までに2019年比25.2%削減」達成を目指しており、2021年度の国内および海外におけるCO₂総排出量は36,411t(2019年比▲18.6%)でした。
また、短期目標として2022年度はCO₂排出量を2019年度比で12.6%削減することを目指しています。
CO₂排出量目標Scope 1 + 2 (2019-2025年度)
単位:千t
基準年 | 目標 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | |
CO₂ 排出量目標 | 44.7 | 42.9 | 41.0 | 39.1 | 37.2 | 35.4 | 33.5 |
CO₂ 排出量削減率 2019年度比 | - | 4.2% | 8.4% | 12.6% | 16.8% | 21.0% | 25.2% |
注:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
CO₂排出量の推移 *環境基本方針(JKグリーン2025)
注:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
CO₂排出量(2018-2021年度)
単位:千t
|
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
---|---|---|---|---|
Scope1 |
1.20 |
1.18 |
1.06 |
1.15 |
Scope2 |
47.23 |
43.56 |
37.26 |
35.26 |
合計 |
48.43 |
44.74 |
38.32 |
36.41 |
注:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
過去10年間のCO₂排出量の推移(2012-2021年度)
注:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
CO₂排出量 売上高原単位(2012-2021年度)
単位:千t/億円
2012年度 | 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
売上高 原単位 |
0.0245 | 0.0183 | 0.0210 | 0.0176 | 0.0174 | 0.0164 | 0.0157 | 0.0154 | 0.0140 | 0.0129 |
注:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量」を参照
尚、CO₂以外の温室効果ガスについては、以下について把握しています。
CO₂以外の温室効果ガス排出量(2018-2021年度)
単位:千t
|
2018年度 |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
---|---|---|---|---|
ハイドロフルオロカーボン |
0.140 |
0.084 |
0.099 |
0.092 |
パーフルオロカーボン |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
注:集計対象範囲は「事業所別CO₂排出量(日本)」を参照
事業所別CO₂排出量 (2018-2021年度)
単位:千t
国内/海外 | 事業所名 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|---|---|
年度目標 | 70.5 | 44.7 | 42.9 | 41.0 | |
日本 |
本社・横浜事業所 | 3.2 | 3.1 | 2.9 | 2.7 |
八王子事業所 | 2.1 | 1.8 | 1.6 | 1.5 | |
白山事業所 | 1.2 | 1.0 | 1.1 | 1.0 | |
久里浜事業所 | 3.1 | 3.2 | 3.3 | 3.2 | |
横須賀事業所 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | |
JVCケンウッド山形 | 0.6 | 0.5 | 0.5 | 0.4 | |
JVCケンウッド長野 | 1.1 | 1.1 | 0.9 | 1.0 | |
JVCケンウッド長岡 | 1.0 | 1.1 | 1.2 | 1.1 | |
JVCケンウッド・クリエイティブメディア | 6.1 | 5.7 | 5.5 | 5.3 | |
JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント | 0.9 | 1.0 | 0.8 | 0.8 | |
JVCケンウッド・ビデオテック | 0.2 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | |
JVCケンウッド・デザイン | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | |
その他関係会社 | ー | ー | ー | ー | |
マレーシア | JVCKENWOOD Electronics Malaysia Sdn. Bhd. | 2.8 | 2.8 | 2.9 | 2.9 |
タイ |
JVCKENWOOD Electronics (Thailand) Co., Ltd. | 3.3 | 3.1 | 1.1 | 1.3 |
JVCKENWOOD Optical Electronics (Thailand) Co., Ltd. | 3.5 | 3.1 | 2.2 | 1.9 | |
インドネシア | PT JVCKENWOOD Electronics Indonesia | 10.5 | 10.2 | 8.1 | 7.7 |
中華人民共和国 | Shanghai Kenwood Electronics Co., Ltd. | 6.9 | 5.3 | 5.1 | 4.4 |
シンガポール | JVCKENWOOD Technologies Singapore Pte. Ltd. | 1.3 | 1.2 | 0.6 | 0.6 |
総合計 | 48.3 | 44.7 | 38.3 | 36.4 |
注:2019年度より、環境基本計画の新規作成に伴い、年度目標を修正
2022年9月に当社グループのCO₂排出量(Scope1+2)削減率をサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下、SPT)とした「サステナビリティ・リンク・ローン」の融資契約を締結し、資金調達を実施しました。本ローンは、借り⼿のサステナビリティ戦略に基づくSPTを設定し、貸付条件をSPTの達成状況に連動させることで、⽬標達成に向けた動機づけを促進するとともに、環境的・社会的に持続可能な経済活動および経済成長の促進を目指すものです。
詳細は、サステナビリティ・リンク・ローンによる資金調達を実施をご覧ください。
原材料調達、製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの、企業活動のさまざまなプロセスにおける間接的なCO₂排出量を算出しています。排出量算定においては、環境省および経済産業省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に従い、その実績を集計しています。今後も部品点数の削減やライフサイクルアセスメントの活用による省電力製品の開発等を通して、CO₂排出量の削減に取り組んでいきます。
Scope3におけるCO₂排出量(2021年度) 算定対象期間:2021年4月~2022年3月
カテゴリ | 算定結果 (千t-CO₂e)[割合] |
算定概要 | |
---|---|---|---|
2021年度 | |||
1 | 購入した製品・サービス | 353.2[66%] | 原材料・部品および購入した物品に伴う排出量 |
2 | 資本財 | 14.6[3%] | 設備投資に伴う排出量 |
3 | Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー活動 | 5.0[1%] | エネルギーの調達に伴う排出量 |
4 | 輸送、配送(上流) | 46.8[9%] | 原材料・製品の輸送に伴う排出量 |
5 | 事業から出る廃棄物 | 0.6[0%] | 事業活動による廃棄物に伴う排出量 |
6 | 出張 | 0.5[0%] | 従業員の出張に伴う排出量 |
7 | 雇用者の通勤 | 2.1[0%] | 従業員の通勤に伴う排出量 |
8 | リース資産(上流) | ー | 算定対象外 |
9 | 輸送、配送(下流) | ー | 算定対象外 |
10 | 販売した製品の加工 | ー | 算定対象外 |
11 | 販売した製品の使用 | 112.0[21%] | 販売した製品の想定される電力消費に伴う排出量 |
12 | 販売した製品の廃棄 | 1.5 [0%] | 販売した製品の想定される廃棄処理に伴う排出量 |
13 | リース資産(下流) | ー | 算定対象外 |
14 | フランチャイズ | ー | 算定対象外 |
15 | 投資 | ー | 算定対象外 |
合計 | 536.0 |
注:集計対象範囲は「国内および一部の海外グループ会社」
注:集計対象範囲は「国内および一部の海外グループ会社」
前述のリスクサーベイランスプロセスでは自然災害リスクの確認も行っており、確認したリスクに対しては、危機対応を想定した各種マニュアルを整備し、有事に備えて防災訓練・事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)訓練、安否確認訓練を実施し、日頃から役員・従業員の防災意識向上に取り組んでいます。
また自然災害に関しては、JVCケンウッドグループの海外生産会社6社は洪水が頻繁に発生する中国・東南アジアに立地しており、洪水等による設備の損害や操業停止リスクが確認されています。当該リスクに対し、開発のバックアップや調達の停止リスク回避を考慮した複数の地域による生産および複数社購買を進め、リスクが低い国や地域からのサプライチェーン調達、部品や製品の輸送を行っています。また、BCP在庫の保有、仲介業者活用による在庫確保などの対策を講じ、急なコストの悪化や、当社グループの国内・海外の生産工場における製造活動の停止等が起こらぬよう、対策を講じています。
JVCケンウッドグループは、気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative : JCI)のメンバーとして気候変動に関わる情報交換や政策提言の支援を行っています。JCIはパリ協定が求める脱炭素社会の実現に向け、世界と共に挑戦の最前線に立つことに賛同した企業や自治体、NGOなどによるネットワークで、政府による温暖化ガスの削減戦略に対する働きかけや気候変動に係る国際会議等で意思表明などを行っています。JVCケンウッドグループは、JCIが掲げる宣言「脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する」に賛同し、「1.5℃目標の実現に向けた世界のトップランナーとなるよう、自らの活動においてエネルギー効率化と再生可能エネルギー利用を加速する」という内容に沿って、生産工程の省エネルギーをはじめとする取り組みを強めていきます。
また、JVCケンウッドグループは、家電製品協会(AEHA)にも加盟しています。AEHAは、家電製品に共通する諸問題を総合的に捉え、調査・研究と政策の立案、実施を行っている団体です。日本では家庭でのエネルギー消費が増加傾向であるため、節電とともに省エネ家電を使用することが地球温暖化のために有効であることを、消費者向けに周知し、温暖化防止の取り組みを推進しています。JVCケンウッドグループは、この方針に賛同し、AEHAの理事として「理事会」「環境役員担当会議」の部会に参加しています。加えて、関連する委員会として「省エネルギー対策委員会」「家電リサイクル委員会」「容器包装リサイクル委員会」等の会合に参加し、提案・意見交換等を行っています。尚、意見交換等の結果、AEHAの方針とJVCケンウッドグループにおける方針が異なると判断された場合には、改めて該当する方針については検討することとしています。
(※カテゴリー1:原材料・部品および購入した物品に伴う排出量、カテゴリー4:原材料・製品の輸送に伴う排出量、カテゴリー11:販売した製品の想定される電力消費に伴う排出量)