経営層インタビュー 〜鈴木 昭〜

鈴木 昭 すずき あきら

常務執行役員 パブリックサービス分野責任者



受け身のままでは、何も変われない。 人と関わることで見えてくるものがある。


ダイバーシティという言葉の認知もない時代。 でも、誰もが活躍できる場はちゃんとあった。

1981年にトリオ(現在のJVCケンウッド)に入社し無線機の開発事業に携わっていた頃、開発部門はほとんどが男性と言う状況でした。ある時、携帯電話の開発が始動したものの、人手不足により本来の設計業務に専念できない状況に陥ってしまったのです。そこで私は当時の上長に、設計付帯業務をこなせる人員の増加を懇願し、翌年には女性を中心に数名が入社しました。もう20年以上も前の話で“ダイバーシティ”という言葉なんてもちろん知られていませんでしたが、女性が入ることで多様化し、職場の活性化につながりました。男性の自分では気づかないような女性ならではの視点で意見をくれるなど、非常に助かったことを覚えています。

 

思い返せば当時から、性別を問わず活躍できる場は十分にありました。しかし今なお、女性の活躍がまだまだ足りないのではないかと感じています。私は2015年から3年ほどアメリカのダラスに駐在していたのですが、現地ではシステム開発、マーケティング、社内弁護士、製品出荷責任者など、主要なポストに就く女性がたくさんいました。そして帰国後、日本で働く女性の活躍を見て「上昇志向が足りないのではないか。もっと目標を高く持ってもいいのではないか」と感じたのです。では、海外と日本の違いはどこにあるのだろう……と考えて行き着いたのは“プロ意識”を持っているかどうかということでした。


能力があれば、性別は関係ない。 目標に向かって、行動しなければ何も始まらない。

プロ意識を持つことは上昇志向につながり、身につくスキルも活躍できるフィールドも自ずと広がってきます。私が駐在中に刺激を受けた女性たちの中には、一人で巨大企業と対峙する顧問弁護士の方や開発を手掛けながら営業もマーケティングも何でもやっている方がいました。彼女たちをここまで突き動かしたものこそ、プロ意識ではないでしょうか。要はミッションをこなす能力があれば、性別はまったく関係がないということです。

 

JVCケンウッドで働く日本の女性も、みんな結果を出すために一生懸命やっています。だからこそ、手を上げてどんどん前に出て来て欲しい。大切なのは、考えるよりもまずは行動すること。動かなければ何も進みません。成功するか失敗するかと悩み、考え、行動しないことが最大の失敗と言えるのですから。これは一人ひとりの意識の問題かもしれませんが、それだけではありません。
会社が、上に立つ人間が、プロ意識を高めるよう責任ある職務を任せたり、活躍できる環境づくりをしていかないと。私がまだ技術部にいた頃には、女性社員にもカナダやヨーロッパで赴任してもらい、海外経験を積んでもらいました。当時は社内でも珍しいことだったと思いますが、私にはグローバルに活躍できる人材を育てるという意図だけでなく、普段からコミュニケーション能力の高い女性が英語を話せるようになれば強みになると思ったからです。本人にとっては将来へのチャンスですし、会社にとっては次世代のリーダーの発掘につながります。そこでカギとなるのが管理職である我々の采配です。たとえば精神的にタフな人が海外赴任に向いているように、一人ひとりの個性を最大限活かすためには管理職の“見抜く力=適材適所”が求められるため、時代とともに私たちも変わっていかなければならないのです。


会話のコミュニケーションなしでは現場の声も、隠れた本音も、理解することはできない。

では、上に立つ人間は今後どう変わっていくべきか。いま必要なのは、現場を、人を見ることです。個々人には必ず貢献できる長所があります。多様性を受け入れるとはまさに、一人ひとりの適性や長所を活かし組織で活躍できるよう管理者として振る舞うこと。
以前、当社のリーダーシップ研修で、個性を見抜くには会話なくしてはあり得ないと教わりました。自分の中だけで考えるのはダメで、部下とコミュニケーションを取って初めて自分が何をすべきか見えてくるものであると。ずっと心に留めているこの言葉の通り、私たちは現場の声に耳を傾け、時に管理職としての期待や思いを自らの口で伝え、お互いが率直に話し合える環境を作っていかなければなりません。今は地道に輪を広げていくしかありませんが、現場を理解することはダイバーシティ&インクルージョンにもつながってきます。
JVCケンウッドは今、多様性を受け入れる土壌が根付きつつあると思います。だからこそ、性別や国籍に関係なく志を高く、現状を打破する心意気で立ち向かってきて欲しい。決まりだからなんて言い訳を唱えるのではなく、必要ならルールを変えればいい。上に立つリーダーもあきらめない気持ちを持って環境づくりをしながら、志を高く持つことを啓蒙していかなければいけませんね。