サイト内検索

社員紹介 ~Napaphat Chubsuwan(ナパパット チャブスワン)~

社員紹介 〜Timi Jackson(ティミ ジャクソン)〜

諦めずに、前を見続けた。

今、JKOTにいる自分が私の誇り。


JVCKENWOOD Optical Electronics(Thailand)Co., Ltd.(以下、JKOT)勤務。

2018年9月に入社し、総務部に配属。JKOTに訪れたお客さまをサポートする業務をはじめ、社員食堂や従業員向けの駐車場などの施設管理、さまざまな文書の管理を担当。


インタビュー


JKOTに入社した“きっかけ”を教えてください。


前職でも工場で働いていたのですが、仕事を通してもっと自分を成長させたいとずっと思っていました。そんな中、JKOTで従業員を募集していることを知り、転職のために頑張ろう!という気持ちになったのです。JKOTといえば、コラートでは誰もが知っているグローバル企業。また、工場を増設したり、パソコンなど働くための機材や設備が充実しているだけでなく、教育体系や福利厚生まで整っていることも私にとっては魅力的なことでした。

ただ、今の会社を辞めていいものか、JKOTはありのままの自分を受け入れてくれるのか、すごく不安でした。というのも私は、トランスジェンダー※という性的マイノリティの一人だったからです。

※心と体の性の不一致を感じている人のこと。



自分の“性”について、意識するようになったのはいつ頃ですか?


私は戸籍上は男性ですが、子どもの頃は自分が女の子であると当たり前のように思っていました。髪の毛を伸ばしたり、スカートを履いたりしたかったし、お人形が大好きで一緒に遊ぶ友だちも女の子の方が多かったですね。ただ、学校に通い始めると、成長とともに自分の性を意識するようになっていきました。

そして14歳の時、私は両親に自分の気持ちを伝えました。二人ともすごく驚いていて、特に母に至っては認めてくれようとしませんでした。性的マイノリティに寛容なイメージのあるタイでも時には否定的な意見もあるため、将来的に苦労するのではないかと心配だったようです。話したくても話せない……そんな状況が続いていたある日、父が母に言ってくれたんです。「どんな性でも私たちにとって大事なわが子。必ずいい子になりますよ」と。この言葉をきっかけに母も私のことを理解してくれるようになりました。


これまで就職活動を行ってきた中で、苦労はありましたか?


一部の会社ではやはり、性的マイノリティであることを受け入れてもらうことができませんでした。名前は男性なのに、写真の中にいるのは女性だったので書類で落とされることもあれば、面接の場で厳しいことを言われたこともありました。思い返せばあの頃は、私の性を認めてくれる会社はもうないのだろうか……と、すごく悩んだし、心がとても痛かったです。

でも私は、諦めたくなかった。負けたくなかった。だからこそ今、こうしてJKOTで働けることは本当に幸せなこと。自分の性ではなく、能力や経験を見てチャンスを与えてくれたJKOTで精いっぱい働いていきたいです。


現在の業務内容について教えてください。


外部から訪問されるお客さまと従業員、それぞれをサポートする業務を行っています。JKOTに訪れるお客さまには、フライトや宿泊ホテルなどの手配から来訪時の対応、さらに滞在中も快適にお過ごしいただけるようバックアップの業務を行っています。また、従業員のサポート業務としては、社食で出されるメニューの改善、駐車場やロッカーなどの施設管理、トイレなどの衛生面の管理まで幅広く担当しています。



JKOTでやりがいを感じた瞬間は?


「ありがとう」を言われる瞬間です。自分の仕事に満足してもらえたということですから、とても誇らしい気持ちになります。以前、会社が長期休暇に入る前、たまたま残業していたことがありました。すると、同僚が私のもとにやって来てロッカーの鍵をなくしてしまったと。彼女はすごく困っていて、私もなんとかしてあげたいと感じました。そこで上司に連絡して指示をもらい、無事にロッカーの鍵を開けてもらうことができました。同僚は「ありがとう、ありがとう」と何度も私に言ってくれました。この時の「ありがとう」の言葉が、“自分が誰かにとっての特別な存在”になる喜びを感じさせてくれたので、以来、私にとって大事にしていきたい言葉になりました。


職場の雰囲気はどうですか?


チームワークがとても良く、お互い家族のように大切に想い合っています。私の仕事が忙しい時も、一人で抱えるのではなく、みんなでどうすればスムーズにできるのかを考え、手助けをしてくれます。また仕事以外でも、一緒に食事をしたり、ファッションや化粧品の話をしたり、会社のイベントを楽しんだりしています。JKOTのイベントは従業員総出で行われるので、すごく盛り上がるんですよ。普段あまり接する機会のない同僚ともコミュニケーションが取れるので、新しい出会いがたくさん待っています。



今後、どう成長していきたいですか?


総務部の仕事はとても幅広いので、今はまだ毎日の業務を経験として積み重ねていくことを大事にしています。そして、その中で私ができることはコミュニケーション能力を活かすこと。働きやすい職場環境をつくるためには従業員の声が必要で、私がたくさんの同僚と話をすることで、その声を引き出していけたらいいなと思っています。

また、JKOTの従業員としては、私の上司であるマネージャーのようになりたい。従業員一人一人に常にまっすぐ向き合い、面倒見が良くて、細かいところにもすぐに気づいてくれるマネージャーは私の憧れの人。少しでも近づけるように、人としても成長していきたいです。


LGBTの当事者として、自ら発信していきたいことはありますか?


私がJKOTで働くことができたように、すべてのLGBTの人にも同じようにチャンスを与えて欲しいと思います。普通と違うものだと括らずに、個々の能力をちゃんと見て欲しい。もちろん、当事者である私たちも受け身でいるのではなく、理解してもらうための行動が必要だと思っています。私にどこまでできるかは分かりませんが、まずはコミュニティーを広げていきたい。世界各国の拠点にいるLGBTの人とつながって、みんなどういう働き方や生き方をしているのか知ることで、悩みが解決できたり新しい意見が生まれることもあると思います。とても大きな目標かもしれませんが、いつの日か叶えられたら嬉しいです。



JKOTについて


JVCKENWOOD Optical Electronics(Thailand) Co., Ltd.


所在地 タイ王国 コラート県
主要生産品目 ドライブレコーダー、リアカメラ、DVDピックアップ

2008年設立、オートモーティブ分野の生産拠点の一つ。第2工場の新設を機に、働きやすさだけでなく、多様性を尊重したより良い環境を整える。2019年には、障がい者への対応や環境整備が充実している点が評価され、タイ全土で行われた障がい者デーにて表彰される。



工場の様子


コラートの様子


JKOT社長 佐藤 秀行氏のメッセージ


私が2014年に赴任する以前から、JKOTでは当たり前のように多様性が尊重されていました。多様性があふれるということは、さまざまな意見や価値観に出会えるということ。言わば企業にとって新たな可能性につながるものではないでしょうか。だからこそ、ここJKOTで私は一人一人の能力を最大限に発揮できるよう、性別や学歴など関係なく、成果や頑張りを評価すること、常にフェアであることを心掛けてきました。個を尊重し、認め合うということは、そういうことだと思っています。

また、私自身がこれまでにシンガポール、マレーシア、タイの3か国で海外赴任を経験したことで、その土地の風土に合わせることもダイバーシティ&インクルージョンの一環であると痛感してきました。日本のやり方で無理に推し進めても、良い結果は生まれません。風土に合った仕組みづくりから考えることで、みんなが生き生きと働くことができるのです。まさに、郷に入っては郷に従え、ですね。


*所属・職位は取材当時の情報です。


性的マイノリティの従業員が働きやすい職場の環境づくり


JVCケンウッドは、性自認や性的指向にかかわらず従業員が働きやすい職場環境づくりを推進しています。その取り組みが評価され、性的マイノリティに関する取り組みの評価指標である「PRIDE指標」において、2018年から2年連続で最高位の「ゴールド」を受賞しました。また、LGBTへの理解を深めるため、外部講師やLGBT当事者の方を登壇者に招いて従業員向け研修を毎年実施しています。さらに、2018年と2019年には国内最大級のLGBTの祭典である「東京レインボープライド」のパレードに参加しました。

「東京レインボープライド2019」の様子

「PRIDE指標」ゴールド受賞ロゴ


~編集後記(ダイバーシティ推進室より)~


バンコクから北東へ約259キロメートル、タイ東北地方最大の都市であるコラートは、東北地方ならではの人々の温かさやのどかな風景が楽しめる街です。そんなコラートでの取材で印象に残ったのは、「相手を思いやる心」です。例えばJKOTでは、始終業時や廊下ですれ違う時などには笑顔で「サワディ」と声を掛け合ってお互いに敬意を払います。また、仕事相手に対しても、相手が気持ちよく仕事できているか、何か不自由を感じていないかを常に気にかけ、心をこめて対応していました。今回取材したナパパットさんも、周囲への感謝の気持ちを大切にしながら日々の仕事に向き合う姿が印象的でした。このように、互いに敬意を払い、相手の気持ちに寄り添う心が、多様な背景を尊重し合い、性自認・性的指向や障がいの有無にかかわらず多様な従業員が活躍するJKOTのダイバーシティに繋がっているのだと感じました。

これからもさまざまな国や地域で活躍する従業員の取材を通して、各国のダイバーシティについて紹介していきたいと思います。
 

ダイバーシティ推進室 長谷川 美峰子