持続的なサプライチェーンの構築は、企業グループの成長と持続可能な社会を実現するための重要事項です。JVCケンウッドグループは、サプライチェーンにおいて環境や人権といった社会的要請に配慮しながら、持続可能な調達を実現することがサプライチェーン上の社会的責任を果たす上で重要であると認識し、グローバルで積極的にサステナビリティ調達を推進しています。
JVCケンウッドグループは、サステナビリティ調達を取引先さまも含めた包括的なサプライチェーンで推進するため、2018年10月に「JVCケンウッドグループ調達方針」を制定しました。法令遵守にとどまらず、広くサステナビリティ調達への理解と取り組みを推進することで、持続可能な社会の発展に貢献することを目的としています。取引先さまにも本方針にのっとった取引基本契約書を使用する契約締結を求めるとともに、「JVCケンウッドCSR調達ガイドライン」も併せてご理解とご協力をお願いしています。
JVCケンウッドグループ調達方針
第1.0版(2018年10月)
はじめに
JVCケンウッドグループ(以下、「当社」という)は「感動と安心を世界の人々へ」という企業ビジョンを掲げており、取引先様はこのビジョンを実現するための大切なパートナーです。当社はお客様の期待に応える製品・サービスの提供や持続可能な社会の実現を目指すため、以下の基本的な考え方に基づいた調達活動を取引先様とともに推進していきます。
調達についての基本的な考え方
1. 公正・公平な取引先様の選定
グローバルに生産活動を展開する当社は、国内外全ての取引先様に等しく機会をご提供します。取引先様の選定にあたっては公正・公平・透明な選定に努めます。
2. 法令・社会規範の遵守
各国での法令・社会規範を遵守し、児童労働・強制労働・差別の禁止など、企業の社会的責任(CSR)を果たす調達活動を取引先様とともに推進していきます。
3. 最新の技術と最適な品質の追求
当社の企業ビジョンを実現するうえで最新の技術を盛り込んだ製品開発は不可欠なため、取引先様が保有される最新技術を意欲的に採用し、価値を創出していきます。また、製品の開発段階から当社の品質目標を明確にし、最適な品質レベルを確保できる部材・製品の採用に取り組んでいきます。
4. 最適なコストの追求
お客様に受け入れられる製品価格実現のために、材料費、加工費のみならず製品原価を構成するすべての要素の低減に努めます。そのために取引先様と一体となった開発購買活動を推進し、新技術、新材料、VEのご提案を積極的に採用していきます。
5. グリーン調達の推進
環境への負荷低減に配慮した製品づくりを行なうためグリーン調達活動を推進し、地球環境への負荷の少ない部材・製品を優先的に採用していきます。
6. 安定調達とBCPの推進
お客様に対する商品の安定供給を維持するため、取引先様とともに部材・製品の効率的な安定調達に取り組んでいきます。また、災害発生時でのサプライチェーンの確保は、当社の社会的責任を履行する意味でも重要だととらえており、BCP方針に基づいた部材・製品の調達を推進していきます。
取引先様へのお願い
1. 健全な経営基盤の維持
長期的なお取引を通じて当社との強固なパートナーシップを築き上げるためにも、取引先様の経営の健全性と安定性の維持をお願いします。また、取引先様の経営方針、経営・財務情報の定期的な開示をお願いします。
2. 法令・社会規範の遵守
取引先様の事業活動をされている各国、各地域での法令・社会規範の遵守をお願いするとともに、当社の「JVCケンウッドCSR調達ガイドライン」をご理解頂き、取引先様には当ガイドラインの遵守に取り組んで頂きますようお願いします。
3. 最新技術の提案と最適な品質の確保
当社の製品開発に繋がる最新技術の提案をお願いするとともに、当社と一体となった品質保証体制の整備と、当社の仕様、品質基準を満たす部材・製品のご提供をお願いします。
4. 適正な価格とコスト改善活動
お客様に受け入れられる製品価格実現のために、適正な価格での部材・製品の供給と、継続的なコスト改善活動をお願いします。
5. グリーン調達への取り組み
当社の「グリーン調達ガイドライン」をご理解いただき、取引先様には当ガイドラインの遵守に取り組んで頂きますようお願いします。
6. 安定供給とBCPへの取り組み
お客様に対する商品の安定供給維持のため、部材・製品の確実な納期管理とリードタイム短縮、安定供給に向けた提案をお願いします。また、災害発生時でのサプライチェーン確保のためにも、代替生産などBCP方針を策定して頂き、安定供給に向けた万全な体制整備をお願いします。
以上
JVCケンウッドグループは、さまざまなステークホルダーの皆さま(お客さま、取引先さま、株主/投資家、従業員、行政/地域社会など)からのサステナビリティに関する取り組みへの期待や要請に応えるべく、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の行動規範に準拠した「JVCケンウッドCSR調達ガイドライン」を制定し、2017年から運用を開始しています。
本調達ガイドラインは、法令遵守・国際規範の尊重、人権・労働、安全衛生、環境、公正取引・倫理、品質・安全性、情報セキュリティ、事業継続計画の8項目で構成されています。この8項目は、JVCケンウッドグループのサプライチェーンとして遵守すべき項目であり、グループ全体でサステナビリティ調達を推進する上での指針となっています。
取引先さまにも本調達ガイドラインへのご理解とご協力をお願いしており、具体的な内容についてはパートナーズミーティングで周知しています。今後もサステナビリティ調達の重要性をご理解いただきながら、全ての取引先さまにおいてガイドラインが適切に運用されるよう、業界動向の調査を含めグループ全体で積極的に働きかけていきます。
JVCケンウッドCSR調達ガイドライン(日本語版)(PDF:745KB)
JVCケンウッドグループはサステナビリティ調達を徹底させるため取引先さまの品質、コスト、納期や技術力を確認するのみならず、児童労働や強制労働の禁止、適切な賃金や労働時間の設定など人権の尊重と、適正な労働慣行を確保することを目指しています。
これらの実現に向けて、以下の項目を目標に推進してまいります。
取り組みテーマ | KPI | ||
---|---|---|---|
2023年度 | 2025年度 | 2030年度 |
|
サステナビリティ調達 |
新規口座開設時のCSR調達ガイドラインへの賛同署名の回収(継続実施) | ||
取引先に対するCSR自己監査の実施依頼および課題が見つかった取引先に対する是正措置の実施(継続実施) | |||
- | RBAなどのアライアンスへの参画検討と、グローバルフレームワークの活用 | RBAなどのアライアンスへの参画と、グローバルフレームワークの活用 |
新規取引先さまの選定に用いる「新規取引先選定規程」では、品質、コスト、納期や技術力、安定供給能力に加え、持続可能な資源利用や化学物質の管理といった環境面、人権、労働安全などのサステナビリティに関する項目を設けています。また、新規の取引先さまと取引を開始する際には、「JVCケンウッドグループ調達方針」、「JVCケンウッドグループ人権方針」、「JVCケンウッドCSR調達ガイドライン」の周知を行っています。さらに、新規口座開設時にはCSR調達ガイドラインへの賛同署名の回収を必ず行うこととしています。
また既存の取引先さまについても、2021年度より環境、人権、労働安全などのサステナビリティに関する評価の一環として、自己評価シート(SAQ)による自己監査の実施依頼を行っております。2022年3月には、国内のエレクトロニクス業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発行している「責任ある企業行動ガイドライン」を参照し、自己評価シート(SAQ)を大幅に更新しました。新しい自己評価シート(SAQ)は、法令遵守・国際規範の尊重、人権・労働、安全衛生、環境保全、公正取引・倫理などに関する8項目と管理体制の構築で構成されており、方針・規程・体制の有無や具体的な取り組みの実施などを質問する形式となっております。
2023年6月には、前年度取引かつ取引継続予定の全ての取引先さまにこの自己評価シート(SAQ)を送付し、9割以上の取引先さまから回答を得ました。
自己評価シート(SAQ)への回答結果を分析し、特に人権・安全衛生・環境に関する重要な法令違反につながりうる項目への回答において高リスクであると特定した既存の取引先さまにはフィードバックを行い、該当するリスクの改善を書面で要請しています。なお、要請書面においては取引先さまの言語に合わせて文書を作成することで、より迅速なサプライチェーン上のリスク低減を図っています。
また、改善を継続的に要請しても改善が見られない場合や重大な法令違反が見られた場合、現地監査による確認や取引内容を今後検討します。こうした継続的な改善依頼・指導を通じて、人権問題をはじめとするサステナビリティ課題に関するリスクの回避、予防、軽減に向けた取り組みを進めてまいります。
JVCケンウッドグループは、サプライチェーンにおけるリスクを特定するために取引先継続評価の実施とフォローを実施しています。評価の結果は、取引先さまの選定や取引継続の判断材料の一つとしています。
JVCケンウッドグループは、サステナビリティ調達を取引先さまと共に実現するため、取引先さまとのコミュニケーションを強化しています。毎年開催している「パートナーズミーティング」では、持続的なサプライチェーンの構築が、企業の成長のみならず持続可能な社会を実現する上での重要事項であることをご理解いただいた上で、「JVCケンウッドグループ調達方針」、「JVCケンウッドグループ人権方針」、「JVCケンウッドCSR調達ガイドライン」を周知し、具体的なCSR調達の取り組みに関する説明を行っています。今後も継続的に取引先さまとのコミュニケーションの機会を設けていく予定です。
JVCケンウッドグループでは、ステークホルダーから苦情を受け付けることができる窓口を用意しています。万一、人権への負の影響への関与が明らかになった場合には、適切な手段により是正・救済に努めます。
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して「対話救済プラットフォーム」を提供する、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員として加盟しています。この対話救済プラットフォームでは、サプライチェーン上のあらゆるステークホルダーを対象に、国際行動規範、各国の国内規範等への違反もしくは、違反が疑われる案件に対する通報を受け付けています。JaCERによる専門的な立場からの支援のもと、公平性・透明性のある適切な対応を実施していきます。尚、通報受付においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保します。
JaCERについてはこちらのウェブサイトをご参照ください。
JVCケンウッドは、サプライチェーンの取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップの構築に取り組むことを宣言します。
JVCケンウッドは、グローバルなサステナビリティ調達を推進するために、武装勢力などの資金源となりうる地域から産出される4鉱物(錫(スズ)、タンタル、タングステン、金)を含む部材については、コンフリクト・フリー・スメルター(CFS)を採用するという方針のもと、責任あるサプライチェーンの確立と責任ある鉱物調達に継続的に取り組んでいます。
コンゴ民主共和国およびその周辺国では、武装勢力による甚大な人権侵害や環境破壊が国際社会に広く認知されており、当該地域で産出される鉱物が武装勢力の資金源となっている点が指摘されています。米国金融規制改革法(ドッド・フランク法)は、当該地域から産出・精錬された錫(スズ)、タンタル、タングステン、金の4鉱物を紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)とし、これらが含まれる部材の精錬所に関する情報の開示を企業に求めています。JVCケンウッドでは、2014年より対象部品に対して紛争鉱物調査を実施し取引先さまにご協力いただき、責任ある鉱物調達を継続しており、以下の取り組みを目標として推進しております。
取り組みテーマ | KPI | ||
---|---|---|---|
2023年度 | 2025年度 | 2030年度 |
|
紛争鉱物への対応 |
顧客からの調査要請対応:回答率100%(継続実施) | ||
顧客ニーズの対象部品を選定し調査を実施(継続実施) | |||
対象部品中、紛争地域で算出される鉱物に対し、コンフリクト・フリー・スメルター(CFS)の使用率100%(継続実施) |
また、国内のエレクトロニクス業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の「責任ある鉱物調達検討会」のメンバーとして、JEITAが主催する責任ある鉱物調達調査説明会に説明員として参加するなど、対外的にも責任ある鉱物調達への理解を深める活動を積極的に行っています。
紛争鉱物への対応は、責任あるサプライチェーンを構築する上で重要であり、原料の調達を通じて人権侵害などに加担することのないよう十分に注意を払う必要があります。JVCケンウッドはグループ全体として、健全な鉱物サプライチェーンの構築に取り組んでいる国々や企業を含むさまざまなステークホルダーとの連携を図りながら、引き続き紛争鉱物の課題に取り組んでいきます。
JVCケンウッドグループは、一般社団法人電子情報技術協会(JEITA)総合政策部会の「CSR委員会」に参加しております。CSR委員会は、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)に関わる業界共通の諸課題に対処するとともに、CSRに関する専門的な見地から調査、研究、普及および対外的な提言などを行う業界団体です。CSR委員会での取り組みの一部として、CSR調達管理の効率化を図ることを目的とした「責任あるサプライチェーンWG」が設置されており、当社グループは当該WGのメンバーとして活動しています。当WGの中で当社グループは「責任ある企業行動ガイドライン」や同ガイドラインに基づくサプライヤー向け自己評価シートの策定・メンテナンスを行うタスクフォースに参画しており、その活動を通じて会員企業が持続可能なサプライチェーン構築する中で直面している課題の共有およびその解決策の検討を行っています。
今後は、RBA(Responsible Business Alliance)等のアライアンス参画およびグローバルフレームワークの活用を検討してまいります。
サプライチェーン関連のイニシアチブのうち、特に環境に関連した取り組みのため、加盟している日本機械輸出組合(JMC)の中でグローバル環境対策委員会、環境法規制専門委員に委員として参加し、サプライチェーンにおける環境インパクトに関する動向に関して、海外の製品関連環境法規制の動向に関する情報を持ち寄り、委員企業各社の解釈・対応等について意見交換を行っています。
詳細はCSR委員会のウェブサイトをご参照ください。