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【JVCKENWOOD NEWS】

Through Tak's Eyes

仮想通貨と石貨の意外な共通点

 

現在、世界では1,500以上の「仮想通貨」があると言われていますが、日本の取引所に上場している仮想通貨は14種類です。時価総額のランキングではBTC(Bitcoin)が圧倒的に大きく、10月2日現在約16兆円となっています。第2位はETH(Ethereum)で約2.1兆円、第3位はXRP(Ripple)で約1.2兆円、これらがいわゆるBIG3となっています。100位近辺の仮想通貨の時価総額は約50億円です。

 


Bitcoin の価格は約89万円ですが、それぞれの仮想通貨の価格は Bitcoinとの比較でも表示されています。Ethereum は 0.02142BTC、XRPは 0.00003BTCという具合です。このようにBitcoinの存在感は圧倒的に強いものとなっています。Bitcoinのブロックが生成された2009年1月から現在に至るまでの取引記録は全てのノード(7,400台以上)が保有しており、誰もが閲覧出来る状態となっています。このブロックチェーンの仕組みは「分散型台帳」と呼ばれ、全ての仮想通貨の基本となっています。しかし、2018年の全世界の「仮想通貨」の時価総額は88兆円から11兆円に変動しました。このように「仮想通貨」は極めて投機性の強い商品となっています。因みに、Bitcoinの発行数は2,100万を上限としており、今年8月時点で1,785万BTCが発行されています。残りの315万BTCは2140年迄に発行されることになっています。

 


一方、銀行を介さずに個人間で直接送金が出来るという利便性から、大手都銀も「仮想通貨」採用の運用実証を始めました。三菱UFJ銀行の「MUFJコイン」とみずほ銀行の「Jコイン」です。これら銀行系の「仮想通貨」とBitcoinなどが決定的に違うのは「価値」の安定性です。銀行系は1コイン=1円が保持されます。今後、銀行系の仮想通貨は利便性、ブロックチェーンによる履歴保存、価値の安定性などにより持続的且つ継続的に拡大していくと思います。

 

地中海のマルタ島は、香港、パナマなどと同様にタックスヘイブン(租税回避地)として有名ですが、面積336㎢(東京都23区の約半分)、人口約40万人、天然資源に乏しく食料自給率も1割程度の小国です。このマルタ島が税制と法律を整備し「仮想通貨」取引量で世界のトップクラスに躍り出て注目を浴びています。「持たざる」小国として「持つ」大国に「機敏性」という武器で対抗する戦略が奏功しています。

 

 

南西太平洋のミクロネシア連邦には西端のYap(ヤップ)島と呼ばれる陸地面積約100㎢、人口約1万1千人の小さな島があります。元々ドイツ領でしたが、第一次大戦後に日本の信託統治となり、第二次大戦後には米国の信託統治となって現在のミクロネシア連邦となりました。このヤップ島では「石貨」と言われる巨大な石の貨幣が流通しています。

個々の石貨には価値が厳密に設定されているわけではなく、石貨の価値を決めるのは個々の石貨の来歴であり、それを所有している者とそれを譲られる者の話し合いによって譲渡の条件が決定されるとのことです。ある石貨はサイズも大きく、白人が来る前からヤップにあったので極めて価値が高いというように価値が決定されます。もちろん、普通の貨幣のように携帯することはできないので、基本的には屋外の一定の場所(「銀行」ともいえる)に据えられた状態で、所有者が変わっていきます。なんとも長閑な世界です。

「仮想通貨」と「石貨」は現代社会における両極端の通貨ですが、共に「履歴」が正しく記録されているという共通点があります。これが信用に繋がるのでしょうか。Facebookが「Libra」を発表し、各国の通貨当局が様々な「異議」を唱え、実現にはもう少し時間がかかりそうです。さて、どのような展開になるのか目が離せません。

 

Yap(ヤップ)島で使われていた石貨

写真引用:フリー百科事典『ウィキペディア (Wikipedia) 』