【JVCKENWOOD NEWS】
当社はカーナビゲーション、ドライブレコーダー、無線機等多くの製品にGPS端末を搭載し、年間数百万台を販売しています。
今回は現代社会に不可欠な”GPS”について説明したいと思います。GPS(Global Positioning System)は米国が開発した衛星測位システムで、各国で開発されたものを総称してGNSS (Global Navigation Satellite System:全球衛星測位システム)と呼んでいます。GPSはGNSSの中で最も広範囲に使用され、まさしく「文明の利器」といえるでしょう。衛星測位システムは、原子時計を搭載する測位衛星が高精度の時刻信号を発信し、受信端末機は3個以上の測位衛星から時刻信号を受信しそれらの差分を計算(GPSからの距離)し、測位する仕組みです。
その歴史は古く、米国国防総省が1973年にプロジェクトを開始し、1978年に最初の衛星を打ち上げました。以降15年をかけて24個の衛星網を整備し、1995年に運用がスタートしました(現在は31機で構成)。これにより米軍の精密誘導兵器が格段に進化しました。ちなみに当初の測位精度は5mでした。さらに米国はGPSがもたらす経済効果に期待し、民間用にもGPSを開放しました。
しかし、他国の軍事利用を懸念し、民間が利用できる信号(C/A:Coarse Acquisition コード)を一部変更して精度を約100mに劣化させました。さらに1999年、インドのカールギル紛争の際、米国は同地域におけるGPS信号を遮断しました。米国が自由に制御できるシステムに危機感を持った各国は、独自システムの開発を始めました。現在ではロシア、EU、中国、インド、日本がそれぞれ独自の測位システムを有しています。
・ロシア
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GLONASS (Global Navigation Satellite System)
1982年に初号機が打ち上げられ、1996年には24機体制となり運用が開始されました。しかし、ソ連崩壊後の混乱で2001年には稼働衛星が8機に減少し、システムが崩壊。現在は、ロシアの混乱が落ち着き、またインドの協力もあり元の24機体制が復活しています。 |
・EU
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Galileo
GPSに対抗するフルシステムで、計画では30機が軌道に投入され、内24機で稼働し6機は即時稼働が可能なバックアップになる予定です。 さらにGPSとは異なり、当初から民間利用に主眼を置いており様々な新機軸があります。最大の機能は限定的ではありますが、双方向通信機能です。
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・中国
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北斗(Beidou)衛星測位システム
北斗システムは3段階で進められています。第1段階の北斗-1は、2000~2004年に静止軌道に打ち上げられた4機で構成。実験的なシステムでした。3機で運用され、1機はバックアップとなっていました。 第2段階は北斗-2、もしくはコンパスと呼ばれています。35機の衛星で構成され、GPSまたGalileoと同様のスペックのシステムです。精度は10m程度ですが、軍事用は10cm程度とも言われています。 第3段階の北斗-3では、2020年までに、さらに12機を打ち上げ53機構成の最終システムが完成予定です。北斗システムは双方向通信機能を持ち、受信端末を追跡することも可能となっています。
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・インド
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NavIC (Navigation Indian Constellation)
2011~2017年に7機の衛星を打ち上げました。(3機は静止衛星、4機はインド上空で8の字を描く傾斜軌道) GPSと連動し、精度はインド国内で5m、周辺で20m。2つの周波数帯域を使ったデュアルバンドにより精度を向上させています。 |
・日本
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QZSS (Quasi Zenith Satellite System:準天頂衛星システム)
愛称「みちびき」。全て傾斜軌道で日本上空を8の字のように移動し、日本上空がほぼ天頂に位置するような軌道で周回しています。 7機で構成される予定で既に4機が打ち上げられて運用中あり、2023年には7機体制が完成予定。GPSと、みちびきのセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)を連携させることで、最高精度10cm未満(静止状態)を実現しています。 |
上述のように、GNSSはますます精度が向上し、通信機能も付加されていくことになります。当社が生産する機器も含めて、様々な端末機器が現行のGPSに加えて複数のシステムに対応していくことになりましょう。それにより、新たな用途が拡大し、安心・安全・快適・信頼のおける社会生活が世界中で確立されることを切に願います。
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