【JVCKENWOOD NEWS】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、パンデミックにより全世界共通の深刻な問題となっています。
日本においては、極めてソフトな行動制限(要請)にもかかわらず、「衛生環境」「医療体制」「国民感情」という世界的には「特異な社会環境」により、抑え込みに成功しています。従来、極めて批判的であった海外メディア等の反応も「称賛」に変わっています。感染者総数については、PCR検査数が少なく疑問視されることもありますが、単位人口当たりの死亡者数が極端に少ないことは紛れもない事実であります。その要因は、上述の「特異な社会環境」に加えて、何か(ノーベル賞授賞山中先生が提唱する「Factor X」)があるのではないかと国内外で様々な研究が行われています。日本では標準のBCG接種や歴史的な行動様式などが候補として挙げられています。
日本では梅雨入りしたことや今後猛暑の季節になることから、当面は小康状態が続くことになるでしょう。しかし、秋口からはインフルエンザの流行に紛れ、第二波感染増大を強く懸念せねばなりません。多くの専門家の皆さんが指摘されているように、真の終息のためには、1)既存薬の効能確認、2)ワクチン開発、3)新薬開発、および4)集団免疫獲得が必要です。これらが成就するには最低2~3年が必要といわれており、それまでは、感染防止対策としての「行動制限」と「経済活動復活」の相反する行為を並立させるという空前の挑戦を継続することが必要となるでしょう。
さて、一年延期された2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会はどのような展開になるのでしょうか?
海外からのアスリートまた観客への対応、会場・競技運営、交通手段、Social Distancingの在り方、発行済みチケットの扱いなど問題山積ですが、あらゆる知恵を絞り開催に繋げてほしいと願っています。
米国でのスペイン風邪
写真引用:フリー百科事典
『ウィキペディア (Wikipedia) 』
オリンピック・パラリンピック大会開催が感染症により危ぶまれたのは初めてではありません。約100年前に発生し史上最悪のパンデミックとなったスペイン風邪(Spanish flu)は、1918年1月~1920年12月の約3年間で5~6億人(当時の世界人口3分の1近く)の感染者と、数千万人(実数は不明で最大1億人との説もある)の死亡者という甚大な被害をもたらしました。第一次世界大戦の最中、1918年初頭に米国デトロイト他で最初の流行があり、米軍の欧州派遣とともに欧州で感染が拡大(第一波)。当時は戦時中であり、感染者数=戦力低下と見なされることから感染実態の情報は秘匿され、中立国であったスペインから感染情報が提供されたことから“Spanish flu”とスペインにとっては極めて不名誉な名前となりました。1918年秋には全世界に感染拡大し(第二波)、いったん収まったかに見えましたが、1919年春から秋にかけて再度感染が拡大しました(第三波)。結果として、集団免疫が得られて終息しました。
スペイン風邪パンデミックの最中の1919年4月、当時のIOCは1920年大会の開催都市をベルギーのアントワープに決定しました。第7回オリンピック競技大会は、1920年4月20日~9月12日に開催され、2,607人が参加し、23競技152種目が実施されました。本大会が決定される際に、スペイン風邪の感染問題がどのように議論されたかは不明ですが、初めて選手宣誓が行われ、クーベルタンIOC会長が発案した五輪旗の初掲揚など新しい試みが行われました。いずれにせよ、第一次世界大戦惨禍からの「復興五輪」の意味合いが強かったようです。当時は、まだウイルスの存在も確認されておらず、ワクチンも有効な薬もなく、第三波の真っ只中での開催でしたので、今だったら相当論議を呼ぶことになりそうですが、参加選手に犠牲者が出たという記録はなく、本大会は成功裏に終了しました。
第21回オリンピック競技大会は2010年2月にカナダのバンクーバーで開催されましたが、その前年2009年4月にメキシコで原因不明の呼吸器感染症が発生し、WHOは6月にパンデミックを宣言しました。新型コロナウイルスのような感染爆発には至らなかったものの、最終的に全世界で約18,000名の死者が発生しました。しかし、各国保健機関による「圧倒的多数の症例で合併症なく自然治癒」との分析で季節性インフルエンザと大差ないとの見解となったため、本大会は極めて限定的な防疫体制を構築するだけでほぼ平時と同様に開催されました。なお、WHOによるパンデミック終息宣言は同年8月でした。
さらに、2016年8月ブラジルのリオデジャネイロでの第31回オリンピック競技大会では、当時ブラジルで流行していたジカ熱により一部の選手は参加を辞退しましたが、IOCは予定通り開催しました。
新型コロナウイルス感染はスペイン風邪に匹敵する可能性があり、上述のバンクーバー冬季大会やリオデジャネイロ夏季大会のような、ほぼ平時体制での開催は極めて困難と思われます。現状、IOCは東京大会の再延期や中止を否定しており、日本組織委員会は「参加する関係者やコストを減らした『シンプル五輪』を志向し、新型コロナウイルスの感染防止を徹底する」との基本方針を示しました。具体的な運営方針はいまだ示されてはおらず、早急な検討が必要です。約200ヵ国からの参加が予想される中、以下(に限りませんが)の問題をどのように解決するのか、いよいよ正念場です。
いずれにせよ、VR・AR、5G、AI、RoboticsなどICT技術を最大限活用することによって感染防止との両立を図ることが必要となります。読者の皆様におかれましては、様々なアイデアをお持ちと思いますが、今こそ日本の底力を発揮せねばなりません。
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