【JVCKENWOOD NEWS】
ルルドの泉(出典:4travel.jp)
昨年11月号(11月22日発行 vol. 27)で「水の起源」についての最新仮説を説明しました。その中で特殊な能力を持つUFB(Ultra Fine Bubble)水と呼ばれる機能水を少しご紹介しました。今回はそのUFB水についてもう少し詳しく解説します。約10年前、ジョニー・デップ主演の「パイレーツ・オブ・カリビアン/命の泉」が公開されました。スペイン王と英国王が「命の水」を巡って対抗し、そこに海賊が絡まってのアクション映画です。世界各地には「命の水」、「霊水」もしくは「奇跡の水」と呼ばれ、様々な病を治癒させるといわれる泉があります。世界的には次の「三大霊水」が有名で観光スポットにもなっています。
日本各地にも命の泉といわれる水源があり、多くは神社となっています。一例として、静岡県に命の泉(みことのいずみ)があります。日本武尊が東征の途中に立ち寄り、その折脚気(かっけ)にかかって苦しむ中、この泉で喉をうるおし元気になったとの言い伝えです。それぞれの「命の水」の具体的な効能やその真偽については未だ科学的に検証はされていませんが、ひょっとするとUFB水のような水が自然に発生しているのかもしれません。さて、本題のUFB水について解説します。
■UFB(ウルトラファインバブル)水(ナノバブル水とも言う)
ナノバブル水は直径数十~100ナノメートル(10億分の1ミリ)の超微小気泡を含む水です。UFB水は無色透明で目視できません(グリーンのレーザーポインターを当てると、かすかな線が現れます)。また、水中に長期残留し沸騰させても消えません。このナノバブル水は現在ではUFB水と呼ばれることが多く、さまざまな領域で実用化されています。UFB水には特殊な能力があり、気泡の種類にもよりますが、強い洗浄力、殺菌力、有害化学物質を分解する効果や細胞活性化の効果も認められています。2005年に開催された「愛知万博(愛・地球博)」長久手会場の本館において、酸素ナノバブル水を入れた水槽が展示され、海水魚のタイと淡水魚のコイがその水槽内で数カ月にわたり同居する姿が見られました。当時、多くのメディアが報道しましたのでご記憶の読者もいらっしゃるかもしれません。また、オゾンUFB水は、きわめて強い殺菌・消毒効果を持っています。オゾンは分解しやすいため、通常のオゾン水は1時間程度で効果が減少しますが、オゾンUFB水は数カ月間効果が持続します。その殺菌効果は、すでに医療や食品工業などで利用されています。オゾンには塩素系殺菌剤の10倍近い殺菌能力があります。また、ウイルスやバクテリアを遺伝子レベルで破壊し、オゾンは分解して酸素に変わりますので安全性に優れています。しかも、トリハロメタンのような有害な二次生成物を作る危険性も少なく、抗生物質のように耐性菌を発生させる危険性がありません。
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このように素晴らしい特徴を持ったUFB水ですが、マイクロバブルや通常の発泡水との比較※を下記に示します。
※株式会社シバタ WEB ウルトラファインバブル(UFB)を一部参照
ファインバブル(Fine Bubble) | |||
・種類 | ウルトラファインバブル(UFB) | マイクロバブル(MB) | ミリバブル/サブミリバブル |
---|---|---|---|
・泡の直径 | 1μm未満 | 1~100μm未満 | 100μm以上 |
類似サイズの物質 | ウイルス(数十~100nm) | バクテリア(数μm) スギ花粉(数十μm) |
発泡水(数mm) |
・目視可否 | 不可能(無色透明) | 可能(白濁) | 可能(通常の気泡) |
・特徴 | 水中に長期(数週間~数カ月間)残留 | 水中でゆっくり上昇 短期間に消滅 |
水中で急速に上昇 数秒~数分で消滅 |
ファインバブルの定義と特徴
(出典:慶應義塾大学 寺坂宏一教授/一般社団法人 ファインバブル産業界 WEB)
UFB水は様々なシーンで使用されています。家庭用では、最近TVコマーシャルでもよく見かけるシャワーヘッド、給湯器、洗濯機、浴槽などです。近い将来、家庭内生活用水を全てUFB水で賄う仕組みも一般的になるでしょう。すでに、一部のマンション開発企業は元付UFB供給機の採用を決定しているようです。トイレを含む家庭内生活用水がUFB水になれば、現状個別に設置しているUFB水機器は不要となるとともに排水管の汚染、特に尿石などの蓄積も軽減されることになります。飲料用には従来通りキッチンに浄水器を設置することが望ましいでしょう。
UFB水およびファインバブル水は日本が世界をリードしており、すでに業界団体としてファインバブル産業界(FBIA:Fine Bubble Industries Association)が発足し、現在約100弱の企業・団体が加盟しています。さらに、UFBを含むファインバブル技術の国際標準化に向け、ISO/TC281を日本提案で設立し積極的に活動中で、2017年6月に国際規格第1号としてA階層(用語および定義を含む基本原則規格群)の「用語」規格が発効しました。今後は、B階層(特性評価および計測方法の規格群)、そしてC階層(個別応用分野規格群)での取組みが強化される予定です。
各種産業へのUFB水の適用もすでに始まっており、FBIAによると今後さらにその適用領域は拡大して行くと想定されています。具体的には次の領域です。
1.環境:水質浄化
2.農業:農畜作物の成長促進・収量増加・品質向上、鮮度保持、洗浄など
3.水産業:水産物の成長促進・収量増加・品質向上、養殖環境改善、鮮度保持など
4.食品:洗浄、鮮度保持、酸化防止、風味・香り・食感づけなど
5.医療:医療器具の殺菌・滅菌など
6.工業:部品・材料洗浄、生産ライン・装置洗浄、シリコンウェハー剥離など
■SDGs/ESGとの関連
上述のように様々な領域でUFB水の活用が始まり、その拡大が期待されています。国連が目指す17の持続可能な開発目標の中でも次に示す目標にUFB水は、まさに最適の商材です。事業拡大そのものが持続可能な開発目標と直接結びつき、事業拡大が多少の環境負荷となっても致し方ないという従来の「トレードオフ」的な考えではなく、完全に事業と環境が両立する「トレードオン」の関係が構築できるのではないでしょうか。
UFB水が適用される持続可能な開発目標
2.飢餓をゼロに(Zero Hunger)
3.すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-being)
6.安全な水とトイレを世界中に(Clean Water and Sanitation)
9.産業と技術革新の基礎をつくろう(Industry, Innovation and Infrastructure)
11.住み続けられるまちづくりを(Sustainable Cities and Communities)
詳しい説明また適用事例は下記をご参照ください。
https://fbia.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/NK_30d_20191024_02_Color_0609.pdf
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