当社は、製品の品質向上と安全性の強化のために全社品質マネジメントのもと、品質、安全性、信頼性の評価体制を構築しています。横浜本社地区Hybrid Centerに評価設備を集約、新設することで、設計、生産との連携強化を図り高品質なものづくりを実現しています。
・JVCケンウッドにおける評価設備
当社Hybrid Centerには、最新且つ多種多様な評価設備が揃っています。音の反射を極限まで抑えた完全無響室や半無響室、高品質な音響体験を提供する試聴室、車両を入れた評価が可能な電波暗室、さらに細かく温度を制御可能な環境試験装置が46台設置されています。加えて、振動・衝撃試験機も複数配置されており、カーナビ等の車載機器や無線機器など多岐にわたる製品の耐久性・信頼性を高精度に評価可能です。これらの設備は部門横断的に活用されており、一つの拠点に集約されていることで、従来分散していた設備の効率的な利用と技術の融合が実現されています。これにより、評価結果を即座に開発現場へフィードバックすることが可能となり、製品開発のスピードと品質向上に貢献しています。
Hybrid Centerと評価設備
・安心と信頼を生み出す評価技術
製品の実使用環境を想定した厳密な評価により、信頼性や安全性はもちろん、快適な使用感も重視して評価を行っています。開発現場と連携した高精度な評価技術を通じて、お客様に安心と信頼をお届けするクオリティを追求しています。
当社の品質へのこだわりを支える評価技術の取組事例をいくつか紹介します。
音響機器本来の性能を最大限に引き出すため、最適な音響試験環境を整えています。無響室や半無響室を活用し、音の反射を極限まで抑えた空間で、スピーカーの特性評価や製品の駆動音評価、さらには環境試験前後の音質比較評価など、多角的な音響測定を実施。徹底した音質評価を通じて、高音質かつ信頼性の高いものづくりを追求しています。
ウッドコーンコンポの音質評価例
電波暗室とは、外部からの電磁波の影響を受けず、且つ外部に電磁波を漏らさないように設計・施工されたシールド空間です。内部での乱反射も抑える構造となっており、測定や試験に必要な電磁環境が確保されています。当社は実車両が入るほどの電波暗室も有し、製品単品の試験はもちろんのこと、車両ごと入れての車載機器EMC※1試験も実施しています。外部電波の影響を受けない環境下で、これらの試験を行うことにより、他機器への影響を与える電磁波の抑制、ノイズ耐性向上や誤動作防止に努めています。
電波暗室
また当社はEMC分野の試験所認定機関であるVLAC(電磁環境試験所認定センター)※2の認証試験所として認証を取得しており、第三者の公平な立場で製品検証を行う企業内EMC試験所を有しています。EMC試験のスペシャリストが公平な立場で試験を実施することで、各国のEMC規格を遵守した高品質なJVCケンウッド製品を、よりスピーディにお客様に届けることができます。
※1 EMC(Electromagnetic Compatibility):電子機器が互いに電磁的な干渉を起こさず、安定して動作できる能力
※2 VLAC(電磁環境試験所認定センター):EMC分野を主とする試験所認定機関
X線装置やCT装置を活用し、基板とコネクタの接点やICにおけるワイヤーボンディングの状態など、通常目視では確認できない領域を非破壊で精密に検査しています。これにより、内部欠陥や微細な接続不良を的確に発見し、製品の信頼性・耐久性の向上に寄与しています。
コネクタの接点評価例
ICのワイヤーボンディング評価例
自動車は世界中のさまざまな道路を走行します。未舗装路、ヨーロッパの石畳など、路面の状態は国や地域によって大きく異なります。こうした多様な振動環境を再現し、車載製品がどれだけ耐えられるか、そして品質を維持できるかを評価しています。実際の走行データをもとにしたランダムな振動波形を使用し、製品に対してX・Y・Zの三方向から振動を加えることにより、現実に近い負荷を再現し、実際の道路状況を模擬することが可能になります。これらの試験を通して、全世界の道路で走行した際の性能を担保し、グローバル市場においても安心して使用できる高品質な製品を提供し、お客様に長く快適に使っていただける価値を創出しています。
3軸ランダム振動試験装置
振動試験部
振動試験動画
製品に対してX・Y・Zの三方向から振動を加える試験を実施しています。
振動下においても、製品が正常に動作することを確認しています。
JVCケンウッドの無線機はお客様が安心して長くご使用いただける様に、様々な環境や状況を想定した過酷な環境下での試験を実施し、堅牢性、信頼性を確保しています。また、当社無線機のうち、特定のモデルは米国防衛装備品向けの環境試験規格である MIL-STD-810に適合しています※。この規格は、装備品が温度、湿度、衝撃、水圧などの過酷な環境に耐えうるかを検証するもので、無線機がどのような条件下でも確実に動作することを試験しています。
※機種によって適合規格が異なります。
恒温槽試験装置
熱衝撃試験装置
各種試験の様子を動画でご覧いただけます。
落下衝撃試験
製品を落としてしまうことを想定し落下試験を実施しています。落下後も製品の品位を損なうことなく正常に動作することを確認しています。
温度試験
様々な使用環境を想定し、極端な温度条件下における温度試験を実施しています。厳しい寒さや暑さの中でも、安定した性能を発揮することを確認しています。
降雨試験
降雨時の使用環境を想定し、製品への降雨試験を実施しています。
耐水試験
製品への直接噴流によっても影響を受けないことを確認しています。
水没試験
水中に機器を一定時間沈める水没試験を実施しています。万が一、水中に落下した場合でも、無線機が正常に動作することを確認しています。
繰り返し耐久試験
ボタンなどの操作部に対して、繰り返し操作の試験を実施しています。長期にわたって安心してご使用いただける製品の耐久性を確認しています。