JVCケンウッドのトライバンド技術は、3つの周波数帯(VHF/UHF/700-800 MHz帯)への対応を実現し、これまで周波数帯ごとに必要だった複数台の無線機を1台に集約することが可能です。
設置スペースの削減や携帯性、操作性の向上により、顧客満足度の高い無線通信環境を実現しています。
複数周波数帯を1台の無線機で運用
トライバンド技術は、構造が複雑な送信カプラ回路の設計、複数回路の干渉を最低限に抑えた高密度実装、低消費電力で小型化に最適な無線受信ICの採用によって複数バンド対応と高効率な運用を両立しています。
送信カプラはPCB(プリント基板)上に描かれた配線パターンで構成された回路であり、送信出力の制御やアンテナの接続状態の検出に使用します。トライバンド機では3つの周波数帯に対して順方向および逆方向の検出部がそれぞれ必要となり、合計6種類の検出部が求められます。このような複雑な構成を実現するために、電磁界シミュレーションを繰り返して配線パターンを最適化し、シングルバンド機と同等の優れた電気的性能を達成しています。
トライバンドにおける送信カプラ回路
トライバンド対応構造を最適化するために、多数の回路を高密度で実装する技術を追求しています。また、基板上に電磁シールドを実装し、異なる周波数帯域が混在する環境下でも、各バンドの相互干渉を最小限に抑えています。
トライバンド対応構造の高密度化
ダイレクトコンバージョンICとは、受信した高周波信号を直接ベースバンド信号に変換する集積回路です。本ICは、信号の受信部とPLL(位相同期ループ)部を一体化し、無線機の高性能化および小型化を実現しています。