貢献するSDGs
JVCケンウッドグループでは、2030年に目指すべき姿を見据えて、「安心・安全への取り組み」というマテリアリティを特定しています。セーフティ&セキュリティ分野では、業務用無線システムや非常・業務用放送設備、医用モニターなどの製品をもって、安心・安全に貢献しています。
セーフティ&セキュリティ分野では、安心・安全なまちづくりのために、業種や用途に合わせた製品を多数展開し、幅広い流通チャネルを生かしたトータルソリューション事業を展開しています。
アマチュア無線機の製造・販売を祖業とする無線システム事業は、創業以来培ってきた通信とものづくりの技術を基盤に主に業務用無線を核として発展しました。現在もアマチュア無線市場に向けた製品開発を継続し、2025年度中には、車載型の次世代アマチュア無線機の発売を控えています。その技術へのこだわりとユーザー志向は、業務用無線にも脈々と受け継がれ、全社を牽引する事業となっています。
災害時などの危機管理対策への関心が世界的に高まる中、災害現場や山間部、被災地における確実な通信手段として、公衆携帯ネットワークに頼らない自営無線ネットワークの重要性が再認識されています。堅牢性に優れ、過酷な環境下でも安定して使用できることから、安心・安全なまちづくりには欠かせない社会インフラです。現在は、アナログからデジタルへの移行が進み、特に北米市場では引き続き堅調な需要が見込まれているほか、高速で大量のデータ通信ができるブロードバンド領域にも新たな価値創出の機会が広がっています。こうした背景を踏まえ、無線システム事業では、米国公共安全市場および民間市場を中心に、2030年度に売上収益1,200億円を目指します。その実現に向けて、以下の2つのアプローチで持続的な成長を図ります。
信頼性の高い通信手段の安定的かつ継続的な提供
無線システム事業は、通信の秘匿性や堅牢性が求められる公共安全市場で40年以上の実績と顧客基盤を有しています。2023年以降、トライバンド*1対応の携帯型無線機「VP8000」や車載型無線機「VM8000」の市場導入により、北米市場でシェアを拡大しています。民間市場ではDMR規格をベースとした独自の通信方式「Trunking 2.5」を採用した製品が高い信頼を得ています。これらの製品の安定的な提供を徹底することで、両市場でさらなるシェア拡大を図ります。
*1 VHF、UHFおよび700-800MHzの3つの周波数帯域
ブロードバンド領域での新たな価値創出
ブロードバンド領域は中長期的に成長が見込まれており、そのニーズは多様化しています。無線システム事業では、多様化するニーズに応える新たな通信ソリューションの提供を目指し、ナローバンド事業で培った強みを生かしつつ、他社との協業を通じてIP無線の技術力を強化していきます。
長年にわたって培ってきた知見やノウハウを生かした高い品質と信頼性、お客さまのニーズや予算に応じた柔軟なシステム提案などが全世界で評価されています。安心・安全なまちづくりへの貢献に向けて、取り組みテーマとKPIを以下のように定め、目標達成に向けて進捗管理を行いながら、取り組みを進めています。
| 取り組みテーマ | 目標/実績 | KPI | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 2024年度 | 2023~2025年度(累計) | 2023~2030年度(累計) | ||
| 災害や事故などの現場や、非常時にも安定した通信手段を提供する | 目標 | 業務用無線システムの販売台数 | |||
| 120万台 | 130万台 | 400万台 | 1,200万台 | ||
| 実績 | 130万台 | 120万台 | |||
| 高価格帯の無線機の需要が高まったことで売上収益が増加したものの、低価格帯の無線機の販売台数が減少したことにより、合計の販売台数に影響が出ました。 | |||||
無線システム
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JVCケンウッドでは、強みである「音響」技術の知見やノウハウを生かし、防災および減災のための製品・サービスとして、非常・業務用放送設備や避難誘導支援システムを展開しています。大規模オフィスビルやショッピングモール、工場はもちろん、地区防災を支える要の放送システムとして、多言語放送対応の非常・業務用放送設備の導入を推進することで、日本に滞在する外国人も含む人びとの安心・安全な生活に寄与しています。
非常・業務用放送設備「EM-1500シリーズ」や「EM-K150シリーズ」では、音声警報メッセージを日本語と英語により放送することが可能です。また、「多言語対応CF(コンパクトフラッシュ)カード」に交換することで、3~4か国語(日本語、英語のほかに中国語と韓国語)に対応することが可能となり※、より多くの人びとに非常放送を届けることができます。また、避難誘導支援システムは、従来の非常用・業務用放送に加え、サイネージなどと連携して対象者に向けた映像・音声・通信によるメッセージの提供を可能にしています。
※ 導入にあたっては、所轄の消防署の許可を得る必要あり。
多言語放送対応の非常・業務用放送設備―ラック型
「EM-1500シリーズ」
多言語放送対応の非常・業務用放送設備―壁掛型
「EM-K150シリーズ」
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「車両ナンバー認証システム」は、カメラ映像から車両ナンバーを認証し、物流施設や商業施設における車両の入場チェックを自動化します。同システムで入退場履歴を管理することで、受付や警備の業務省力化を実現します。また、施設内の入退場台数や滞留台数をリアルタイムで把握したり、要注意車両ナンバーを予め登録し、入退場を自動的に報知したりすることで、施設の安心で安全なマネジメントに活用することも可能です。
また、「物流2024年問題」に対して、入場記録をバース予約システムと連携させることで、荷待ち時間・荷役作業時間の可視化や、入退館管理の省力化を実現します。
「車両ナンバー認証システム」構成図
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JVCケンウッドグループは、独自の画像および映像処理技術を生かし、ヘルスケア分野における製品の開発を行っています。医用モニターの高解像度化などを通じて、一人でも多くの人へ適切な医療サービスが届けられるよう、医療現場を支援しています。ヘルスケア事業は超高齢社会において、人びとの健やかな生活の実現を支える重要な事業であり、今後も現場のニーズに合わせた製品開発と市場投入を進めていきます。
近年、医用画像診断の現場において、医用機器の進化・多様化によりCTやMRIなどさまざまな医用画像データが取り扱われていることを受け、当社では高精細医用モニターを提供しています。
「CL-R813」は、当社製医用画像モニターとして最大となる32型のワイドな大画面領域と800万画素の高解像度表示を実現しています。このモニターは1画面に、高解像度のCTやX線透視画像を6枚同時に表示できるほか、ビューワやレポート、AIによる判定結果など、複数のアプリケーション画面の自由なレイアウトが可能です。その結果、読影時の視線移動が減少し、医師の作業効率向上や負担軽減にも貢献しています。
医用モニター「CL-R813」
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近年、医用画像診断の現場において、人手不足や長時間労働、働き方の多様化といった問題に対応するために、労働環境の改善や業務の効率化、在宅読影・サテライト読影室の導入など、働き方改革の取り組みが求められています。一方で、医療施設と同等の環境を在宅でも実現するためには、設備投資や読影環境の構築などが課題となり、在宅読影の導入は進んでいないのが実状です。そこで当社は、近年ニーズが増加している遠隔・在宅読影に対応した「CL-S301」を発売しました。
「CL-S301」は、医用画像管理システムPACS(Picture Archiving and Communication System)に向けての医用画像表示モニターとしては、当社初のUSB Type-C(DisplayPort Alternate Mode)に対応した21.3型300万画素カラー液晶モニターです。本製品は、USB Type-Cケーブル1本で映像伝送と給電が可能であり、ノートPCやモバイル端末とスムーズに接続できます。これにより、従来必要だったACアダプタや複数のケーブルを持ち運ぶ必要がなくなり、配線が整理され、快適な作業スペースを確保することができます。また、KVMスイッチを搭載しており、1台のキーボードとマウスで複数のワークステーションを切り替えて操作でき、設備費用の削減とスペースの効率的利用が可能です。さらに、当社医用画像表示モニターのハイエンドモデルに搭載されている独自の読影サポート機能「ターボルミナンス」、および「ビジュアルポイントモード」のユーザビリティを強化し、業務効率化と働き方改革をサポートします。
医用モニター「CL-S301」
従来医用モニターとの接続方法比較
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