JVCケンウッドグループは、企業の継続的な成長において人的資本経営が最重要事項の一つであると認識しており、「イノベーションを実現する人材の育成と組織能力の強化」を経営方針の一つに掲げています。人材は、当社グループの成長を牽引する技術力やブランドといった強みの源泉であるため、育成のみならず、採用や配置、処遇、健康経営まで含めて強化する必要があると考えています。
当経営方針に基づき、中期経営計画「VISION2025」においては、「人材戦略」「多様性」「健康経営の推進」を取り組みテーマに掲げ、目指す姿の実現に取り組んでいます。
「VISION2025」では、重点戦略として事業ポートフォリオの変革を加速させています。そして、この経営戦略と連動して、人材の再配置やリスキリングによって成長牽引事業に人的資本の投資を集中させています。成長牽引事業の一つである無線システム事業では、2023年度から2024年度に100名規模の人員を増強し、入札案件への対応力や製品開発力を強化しました。異分野事業からの社内異動も含め、人材ポートフォリオを最適化しています。2024年10月にはValue Creation Square(VCS)に技術系、スタッフ系の各部門を集結させ、2025年4月には、各分野にそれぞれ存在していた技術部門、品質保証部門、生産技術部門を、機能ごとに横断した組織へ再編しました。将来の事業ポートフォリオを見据え、製品開発を柔軟に行える体制の整備と、異分野製品の開発に従事できる人材の育成、および技術交流を目的としています。
目指す姿を実現するために、特に「JVCKENWOOD Career Design」と「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」施策に注力し、イノベーションを実現する人材の土台づくりにつなげています。「JVCKENWOOD Career Design」は、従業員一人一人が、価値創造力の向上に向けて自らの経験を生かしながら将来のありたい姿を実現できるように、能力・キャリアの開発を支援する取り組みです。「D&I」は、イノベーション創出を促す環境を整えるべく「組織風土の醸成」「コミュニケーションの進化」「組織の活性化」を推進し、さまざまな背景を持った従業員が生き生きと活躍できる組織を作る取り組みです。従業員エンゲージメントの向上も人的資本経営の重要テーマであり、より多くの従業員が働きがいを感じることができる環境を整えることが、エンゲージメントの向上、ひいてはイノベーションを実現する人材の育成につながると考えます。
そのために、人材戦略の効果を測定し、より効果的な施策へとつなげるために、働きやすさ、働きがいといった従業員のエンゲージメントの状況を人材KPIとしてモニタリングしています。従業員意識調査では、エンゲージメント指数のほか、「イノベーション」や「顧客志向」、「業務効率」といったテーマに対する従業員の意識を可視化しています。2024年度の調査での主なトピックスは、次の通りでした。
①エンゲージメント指数は2022年度より10ポイント向上
②特に20代、30代の若手の指数が向上している
③スピード感や社内の業務効率性に課題を持っている従業員が多い。
尚、エンゲージメント指標については、2024年度、「VISION2025」の目標を達成したため、70%以上を目標に施策に落とし込む準備を既に始めています。
*1 年度内にメンタルヘルス不調により連続1カ月以上の年休、欠勤、休職による休業をした労働者の比率。
*2 経産省が推奨する5つの評価指標の一つ。全25問が4つの尺度(「時間管理」「身体活動」「集中力・対人関係」「仕事の結果」)で構成されており、質問への回答から生産性を測る指標。100%が最高値。
*3 従業員意識調査の「エンゲージメント」関連設問における「好意的回答」の割合。なお、2023年度は実施していないため、2023年度の欄には2022年度のスコアを記載しています。
*4 VISION2025の取り組みとしてデザイン経営の浸透を掲げ、そのエッセンスを研修化し、従業員に受講を促しています。
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