音響機器における「K2テクノロジー」



オリジナルを知っているからこそ正確に復元




現状は、「K2テクノロジー」=高音質化情報処理技術(アップコンバート技術)とイメージされることが多くなっていますが、アップコンバートに関しては「K2」技術の中の「K2HDプロセッシング」が使用されています。「K2HDプロセッシング」では、圧縮されて音が変質・劣化してしまっているデジタル音源を、圧縮前のCDクオリティーやオリジナルマスターと同等のハイレゾレベルまでの復元が可能です。

例えば、アナログテープのマスター素材からCDマスターを制作した場合、CDフォーマットでは20 kHz以上はカットされてしまいます。その欠落してしまった高周波成分を、アナログマスターとほぼ同等に再現します。圧縮音源からの復元を「net K2」、CDフォーマットより上位への復元を「K2HDプロセッシング」とカテゴライズしていましたが、基本的なアルゴリズムは同様ですので、総称して「K2HDプロセッシング」と呼ばれています。



「K2HDプロセッシング」開発のきっかけは、 サンプリング周波数(※1)が44.1kHzというCDスペックにより再生周波数(※2) 22.05kHz以上がカットされてしまっているCDマスターを元々のオリジナルの状態に復元出来ないか、というスタジオエンジニアの要望からでした。制作現場で扱われているハイスペックなオリジナルマスターに対し、CDマスターはCDと同じデジタルデータ(44.1kHz/16bit)しか記録されていません。『CDマスターしか残っていない数々の名盤を、オリジナルの状態で復活させたい』との想いから「K2HDプロセッシング」は誕生しました。 CDマスターからのハイレゾ音源の制作にも大きく役立っています。

※1: サンプリング周波数:音をアナログ信号からデジタル信号に変換(AD 変換)した際に得られる、1秒間に存在するサンプル数を表します。

※2: 再生周波数:実際に再生可能な音の周波数。再生周波数はサンプリング周波数の1/2 以下の数値になります。CDは人間の可聴域である20kHz の周波数を再生するために、44.1kHz でアナログ音声のサンプリングを行います。



「K2HDプロセッシング」は、「K2」の理念の一つである「元の状態に戻す・復元する」ことを基軸とした、デジタルデータに情報処理を加えることによる高音質化技術です。音源を圧縮処理や制限されたフォーマットやスペックに収めることにより変質・劣化したデジタル音源データを、オリジナルマスターと同等のクオリティーに復元します。最大192kHzまでの高周波数帯域拡張(CD音源の場合:再生周波数を22.05kHzから96kHzに拡張)と、ビット拡張とも呼ばれる微小信号拡張(CD音源の場合:ビット数を16bitから24bitに拡張)を行い、オリジナルと同等の音色、音の表現力を実現します。




高周波数帯域拡張

「音色」の重要な要素に「倍音」があります。楽器も声も音は複数の周波数が含まれて構成されており、基となる一番低い周波数の音を「基音」といいます。ここに、基音の整数倍の周波数「倍音」が交ざることで音色が形作られます。(同じ周波数の音でも楽器によって音色が違うのは、倍音の違いによるものです)。CDはサンプリング周波数44.1kHzでアナログ音声をデジタルに置き換えているので、再生周波数は22.05kHzまでとなります。それよりも高周波の倍音はカットされてしまいます。「K2HDプロセッシング」の高周波数帯域拡張は、ビクタースタジオのノウハウを活かした独自のアルゴリズム(波形補正処理)で、残された音からカットされた高周波数帯域の倍音を復元し、オリジナルマスターと同等の音楽表現を再現します。





K2HDプロセッシング

スタジオエンジニアの試聴判断を基準

「K2HDプロセッシング」の音質調整に関しては、プロフェッショナル音楽制作の最先端現場であるビクタースタジオのスタジオエンジニアによる試聴チェックを繰り返して開発されています。この音質や音楽的クオリティーを熟知したスタジオエンジニア達と共同でおこなわれる音質調整を、ビクタースタジオに保管されている膨大なあらゆるジャンルで幾度と無く繰り返し実施し、音質に関係する複数個から構成される「K2」パラメータを約4兆通りの組み合わせから厳選しています。データ特性や技術的な側面だけではなく、実際に聴こえる音質・音楽的部分の双方での究極の完成度を誇るのが「K2HDプロセッシング」です。

また、仮に他社が特許資料に記載されている情報を参考に「K2」と類似するプログラムを作成出来たとしても、この4兆通りの組み合せから選ばれたパラメーター設定値を模倣することは絶対に出来ません。これこそが「K2」の最大のノウハウであり、JVCケンウッドだからこそ具現化出来た人と技術とのイノベーションテクノロジーです。





微小信号拡張(ビット拡張)

アナログ信号をデジタル信号に変換する際、音の大きさを無音から最大音量までを何段階で再現するかが、音楽の滑らかさや細かさなどの表現力に影響します。CDは16bit(2の16乗)なので65,536段階の分解能で無音から最大音を表現していますが、24bitに拡張することで16,777,216段階での表現が可能となりますので、クラシック音楽などの音量差の大きい音楽に対しては、CDでは聞こえなかった微小信号の再現が可能となり、息遣いや弦の擦れる音など臨場感溢れる音楽が再現されます。「K2HDプロセッシング」ではこのビット拡張にビクタースタジオのノウハウを変数として加え、より自然な音の滑らかさを実現します。





変質・劣化したデジタル音源の高周波数帯域拡張、微小信号拡張に際して単純なアップサンプリング/ビット拡張(変換)では無く、ビクタースタジオエンジニアの音作りのノウハウがこれら拡張処理に施され、マスター音源と同等の復元を可能にするのが「K2HDプロセッシング」です。「K2HDプロセッシング」が施されると、様々な圧縮されたデジタル音源も「アーティストが届けたい音」としての忠実な再現が可能になります。