中期経営計画「VISION2023」の策定とともに、事業ドメインに連動した「ものづくり技能集団」として設計環境改革、生産技術高度技能習熟、品質管理機能を担う本社機能として、ものづくり革新部を新たに設立しました。
新たに策定した「VISION2025」でも引き続き、拠点統合、生産の自動化推進、地産地消の促進、サプライヤエコシステムの構築などを軸に、総生産量・総工数に適した「生産グランドデザイン」と「設計改革」の取り組みを推進していきます。誰もが設計できること、どこでも生産できること、生産体制が適正化・標準化されていること、出荷品質が確保されていること、働き方の多様化に対応していること、といった「ものづくり標準」の確立を目指します。
JVCケンウッドグループは、ものづくり革新を推進するにあたって、以下の3つの観点をグランドデザインとして設定しています。
■ 地産地消の促進、SCM改革との連携や事業規模に適した製造固定費の低減を含む「国内生産回帰」を推進加速
■ 部品の配膳に無人搬送車等を使用する「自動生産のさらなる推進」
■ 製造実行システムの導入などの「生産状況のリアルタイムモニタリング」
JVCケンウッドグループは、ものづくり革新を推進するにあたって、以下の3つの設計改革に取り組んでいます。
■ 設計ツールのクラウド化
■ 設計支援ツールと調達システムの連動
■ 開発の統合拠点であるValue Creation Squareの創設など、技術開発資源の統合による高効率設計
生産グランドデザインの一環として取り組んでいる国内生産回帰においては、地産地消型の生産モデル実現への挑戦を早期に意思決定し、経営資産の高度化と再配置を目指しています。さらに、利益創出の要である無線システム事業における北米公共安全市場向けの最上位機種であるトライバンド対応P25無線機「VP8000」は山形工場で自動化生産を開始するなど、設計のさらなる効率化と総原価視点での稼ぐチカラの醸成を加速しています。
スピード感をもって生産拠点の再編を進めていく中、「設計環境が標準化され、どの分野の製品も設計可能」で「拠点に依存しない、どの分野の製品も生産可能」なものづくりを目指します。
生産・開発拠点の最適化の取り組み
時期 | 内容 | 地政学リスク対応 | 為替対策 | SCM 最適化 |
セキュリティ強化 | 国内回帰 | 効率化 自動化 |
SDGs ESG |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年2月 | 国内アフターマーケット向けカーナビの生産移管 (インドネシア→長野) |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
2022年3月 | プロジェクターの生産移管(タイJKET※1→横須賀) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
2022年3月 | 業務用カメラの生産移管(タイJKET→タイJKOT※2)とJKETの生産活動終了 | ● | ● | ● | ● | |||
2022年11月 | 国内OEM用品向けカーナビの生産移管 (中国(上海)→長野) |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
2023年3月 | M&T分野の開発機能をシンガポールから移管 シンガポール開発拠点閉鎖 |
● | ● | |||||
2023年9月 | 中国(上海)生産拠点の事業活動終了 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
2024年3月 | 中国(上海)生産拠点の譲渡完了 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
新型コロナウイルス感染症が及ぼした世界経済の停滞、とりわけ半導体を中心とした部品・材料の調達難や物流網の寸断などによって、生産活動の連続性維持が大きく懸念されましたが、当社は、総原価改革の旗印のもとで、早期に地産地消型の生産モデル実現への挑戦を意思決定し、ものづくり改革の一つの施策として国内生産回帰を敢行し、経営資産の高度化として自動化生産を推進しました。
2022年2月下旬よりJVCケンウッド長野にて国内アフターマーケット向けカーナビゲーションの生産を本格的に開始しました。2022年度は国内自動車メーカー向け専用ナビゲーションの生産も含めて年間30万台以上生産し、2024年度までの累計生産台数は100万台以上となります。JVCケンウッド長野には、生産技術の強化、自動化の推進を主導・実践するモビリティ&テレマティクスサービス分野の国内基幹工場として、製造現場からの視点で最適な製品構造の提案を商品設計に反映させるほか、製造工程・工法における原価低減、自動化や新工法による人件費率の低減と品質向上を両立させて競争力を最大化するといった役割が求められています。
JVCケンウッド長野
自動化製造ライン