JVCケンウッドグループは、サステナビリティの実現に向けて、目指すべき目標の達成に向けたバックキャストによる技術開発に加え、さまざまな業界のパートナーとの共創により、社会課題を解決するとともに新たな価値を提供していきます。共創を具体化するために、「お客さま」「お取引先」「株主・投資家」「従業員」「地域社会」「外部のビジネスパートナー(行政、NGO、他企業など)」といったさまざまなステークホルダーと共にイノベーションを加速し、具体化への取り組みを重要視しており、特に産学連携、行政、ビジネスパートナーといった外部ステークホルダーとの取り組みは、自社の強みを生かしながら、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。今後もさまざまなパートナーとの「共創」を通じて、サステナビリティ経営の進化に取り組んでいきます。
JVCケンウッドは日産自動車株式会社およびフォーアールエナジー株式会社と協働し、電気自動車「日産リーフ」の再生バッテリーを利用したポータブル電源を共に開発することで合意しました。JVCケンウッドは、カーナビゲーションやドライブレコーダーなどの車載機器やポータブル電源の開発で培った技術と知見を生かし、使用済みバッテリーの安全性・再利用に最適化した設計と開発を担当しています。
2022年4月に開発試作品が公開され、今後は再生バッテリー利用のポータブル電源の商品化に向けて開発を加速させていきます。美しい自然環境を未来に残すため、電気自動車の再生バッテリーを活用し、低炭素社会・サステナブルな社会を実現するため、今後も3社協働での取り組みを推進していきます。
EVの再生バッテリーを利用したポータブル電源製品(イメージ)
日産自動車株式会社およびフォーアールエナジー株式会社との協働体制
当社が東京藝術大学への連携を呼びかけ、省庁への説明を行った東京藝術大学COI(「感動」を創造する芸術と科学技術による共感覚イノベーション拠点)が、文部科学省と科学技術振興機構(JST)の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」※に採用されました。当社は、科学技術を生み出す源泉としてのアートの発想法、および、科学技術を活用した感動を創出するためのアートの必要性に早い段階で着目し、プログラムを推進するプロジェクトリーダーとしてプログラムの運営・推進を担ってきました。
※ 「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」は、我が国が国際的な競争の中で生き残り、経済再生を果たしていくために必要な革新的なイノベーションを次々に生み出していくことを目的とした取り組み。 「企業や大学単独では実現できない革新的なイノベーションを産学連携で実現し、イノベーションを継続的に創出するプラットフォームの構築」を行うことを目指して、2013年度よりプログラムを募集している。
東京藝術大学COI拠点は、「科学技術と芸術の融合によるイノベーション創出」の具体化に取り組んでいます。その背景として、SDGs(持続可能な開発目標)の達成やSociety 5.0への転換、well-being(ウェルビーイング)の実現等、世界・日本が目指す望ましい未来を創るためには、近い将来に来るべき社会の構想、あらゆる人びとの社会参加、イノベーションの創出、地方創生等の多くの場面で、「アート」が必要不可欠な存在となると考えられます。本プログラムはこのアイデアを実証するため、基礎研究から社会実装・ベンチャー創出までの幅広い活動を行いました。「物質的な豊かさのみならず、心の豊かさがあふれる社会の構築」を目指して産学連携で取り組んだ結果、最終的な全体評価でも、最上位の「S」評価を受けることができました。
当社は、COI拠点全体の運営だけでなく、技術開発や社会実装においても本活動の成果に貢献しました。特に「バーチャル藝大」の取り組みでは、コロナ禍で芸術活動や芸術授業の継続が社会課題になる中、メタバース空間と配信コンテンツを融合させ、メタバース内に決済システムも設けたプラットフォームを構築しました。本プラットフォームの中のイベントとして、東京藝術大学の澤学長(当時)、千住明先生、上野耕平氏、さらに演奏家の皆さんのご協力のもとで実証実験としての演奏会を行い、さらに2022年には、より完成度を上げた有料演奏会も開催しました。このように、コロナ禍における芸術活動の継続に向けて、環境の変化に強いメタバースプラットフォームの構築に貢献しました。
また、当社の映像・音声技術を活用した低遅延オンラインシステムの開発にも着手し、オンラインでアンサンブル演奏を行っても遅延による影響を感じないシステムの開発や実証実験を実施しました。さらに、具体的な社会実装の取り組みとしては、映像コンテンツを活用し、小学校、中学校の教科書準拠教材の企画・販売を行いました。
当初のCOI活動は東京藝術大額の教員や学生の一部が参加する取り組みでしたが、活動を進める中で大学のイノベーションへの取り組みを刺激し、最終年度には新学長を中心とした大学組織に活動を承継し「イノベーション拠点の創出」を実現しました。また、大学組織だけでは難しいイノベーション創出活動(事業化支援、産学連携マッチング、ベンチャー支援、知財戦略など)は、COI活動を共にした、文科省、JST、東京藝術大学卒業生などとの連携により「科学技術と芸術の融合によるイノベーション創出」として推進されます。
メタバース(Market Vket6)を活用した美術館
(協賛:HIKKY、三井不動産。リアル展示会場への顧客導入として仮想空間を活用)
メタバース(バーチャル藝大)を活用したSENJU LAB演奏会
詳細は下記リンク先をご覧ください。
<映像と音声の超低遅延リアルタイム双方向伝送の実験>