エンジニア出身の管理職として、ものづくりの現場との懸け橋であり続ける。
その時々に求められる役割に応えて、会社の利益創出や成長の為に貢献していきたい。
JVCケンウッドでは、従業員が長期にわたって生き生きと仕事で活躍できるよう、研修や人事制度の整備などを行っています。今回は、設計や技術開発など技術職としてのキャリアがある女性管理職のお二人に、仕事の面白さや、管理職としてのやりがいについてお聞きしました。
樋本 貴子
セーフティ&セキュリティ事業推進本部 技術管理部 設計管理グループ長
プロフィール
工学部卒。2000年新卒で旧ケンウッドに入社。カーオーディオ事業部にて回路設計業務に従事。2008年にコミュニケーションズ事業部に異動後は、衛星海上機器の設計を担当。2010年以降は技術サポート業務、設計管理業務担当を歴任。2022年管理職登用、同年よりS&S事業推進本部 技術管理部 設計管理グループ長。
岡村 彩加
ものづくり革新部 設計支援グループ長
理工学部卒。1997年新卒で旧日本ビクターに入社。研究所や事業部で車載用DVDメカの半導体レーザ部品の開発から量産化に従事(途中、産休・育休を取得)。2012年以降、事業部で新規事業企画、役員秘書、事業推進などを経験。2017年に管理職登用後は、コーポレートの技術部門にて、技術系の企画業務・管理業務を担当。2022年7月よりものづくり革新部 設計支援グループ長。
これまでの経歴と現在のお仕事について聞かせてください。
樋本:設計業務を経験後、入社10年目から技術サポート担当になりました。4~5年経験した後、今は設計管理という立場で、間接的に製品づくりに関わっています。設計以外のことも誰かがやらなくてはいけない、やる人がいないんだったらやるしかないと考えて取り組んでいます。
岡村:入社後10年以上、研究所と事業部で半導体レーザの開発・生産に関わってきました。デバイス技術者として働き続けるキャリアパスもありましたが、他の事業や職種への関心が強くなり、キャリアチェンジしました。一旦は技術職を離れましたが、管理職登用後はコーポレートの技術部門に移り、現在はものづくり革新部でものづくりの標準化に向けた設計の環境や仕組みの整備に取り組んでいます。
入社から今までを振り返り、仕事の面白さ、楽しさについて聞かせてください。
樋本:自分が手掛けた製品をいろいろなユーザーの方に購入、使用してもらうことで、多くの人の役に立っていると感じ、やりがいを感じます。
岡村:自分が開発・設計にかかわった製品が販売され、使われることは、技術者にとって直接的なおもしろさですよね!
樋本:また、設計段階では思い通りに動かないことも多々あり、その原因を突き止める時は、苦労もあります。そこを乗り越えて改善し、工夫を重ねてより良いものを完成させるところにおもしろさ、楽しさがあります。一生懸命やっていた自分を後から振り返ると、「やりきった」と達成感を感じます。
今は設計管理という立場ですが、設計の経験があるからこそ、設計者が業務に集中できるよう、様々なことを工夫して進めていけることが私の原動力です。やはり、ものづくりが好きなんですよね。
岡村:当社はデバイス技術者が少なく、レーザ開発も少人数で行っていたため、私も素子設計、工法開発、設備管理、品質管理、生産応援など、設計から量産までの一通りを経験しました。業界最高レベル(当時)の高耐熱性能や、課題だった歩留まりの安定化を実現できたときには、技術者として達成感を感じましたね。入社後早い時期から、自分の手でものをつくり、考えを開発に直接反映させる機会に恵まれたことは、今思うと貴重な経験でした。
現在取り組んでいる設計の環境や仕組みの整備も「ものづくり」の一つの形として考えています。製品開発と仕組みづくり、いずれも改善策を模索し新たなものを作り出す面白さがあり、やりがいを感じていますし、これまでの様々な経験が今につながっていると思っています。
これまで働いてきた中で一番苦労したこと、それにどのように向き合ったかを聞かせてください。
樋本:日本ビクターとケンウッドの経営統合の際に、それぞれの部品表システムを統合する移管プロジェクトの経験です。会社ごとに仕事のやり方が異なる中でシステムを統合したため、運用を継続できるものと、継続できないものがあり、調整に苦労しました。なぜその運用になったのか、という経緯を周囲に徹底的にヒアリングし、変更の妥協点を示して納得いただくなどの調整を行いました。根気が必要な業務でしたが、少しでも効率化につながるよう取り組みました。
岡村:私の場合は未経験の仕事に挑戦することも多々あったため、それぞれに苦労はありましたが、普段から一人で抱えこまないことを心掛けています。同僚・関係者への相談や上司へのエスカレーションなど、周囲の力をうまく借りることが推進力になっています。当社の社員には協力的な人が多く、働きやすい会社だと感じていますし、私も逆に他の方への協力を惜しまないようにしています。
キャリアを形成する中で、管理職を打診された時は、それをどのように受け止めましたか?
樋本:リーダーシップ研修を受けていたので、いずれ推薦されて管理職になる機会が来るだろうと思っていました。打診があればなってもいいかなと思っていたんです。ただ、自分の職場は年上の方が多いので、当初は自分が先に管理職になることに戸惑いました。昇進後に受講した管理職研修の講師に、「年齢に関係なく、管理職としての役割を果たすことでの関係性を築くことが重要」などのアドバイスをもらって気が楽になり、前向きに取り組むことができました。
岡村:正直、意外でした。「自分が管理職になったらこうしたい」という強い想いを持てていなかったため、時期尚早かとも感じました。
とはいえ、機会をいただけたことはありがたかったので、断ることは考えませんでした。私も樋本さんと同様にリーダーシップ研修を受講し、そこで様々なリーダーシップについて学んでいたので、あまり不安はなかったです。
個々の管理職と職場に合ったリーダーシップスタイルがあると思いますし、立場が人を作るとも考えています。管理職の打診を受けて迷う方がいたら、「気負う必要はないよ」と伝えたいですね。
管理職としてのやりがいについてお聞かせください。
樋本:考える視点や方法が、個人としてではなく、グループ全体がよくなるよう「全体最適」を考えることに、やりがいを感じます。今は、自分の意見も含めて、グループ内でのいろいろな解決方法の中から、より良い解決方法を、見つけだし、グループとしての成果につながり、やりやすさが広がることを実感しています。
岡村:管理職になって、会社や部門の方針・戦略などを直接聞く機会が増え、それらをグループのミッションや施策に落とし込み、部下の皆さんに伝える立場となりました。周囲を巻き込んで仕事をすることがそれまでよりもやりやすくなり、プレイヤーとは異なる仕事の面白さがわかった気がします。VCS(※)集結など大きな変化のタイミングで、会社が目指す姿に向かって進むために、施策を考えて実行することに、やりがいを感じています。
※横浜本社地区に創設した価値創造の拠点「Value Creation Square」の略称。
VCSには、これまで事業・分野によって各事業所に分散していた技術、研究開発、営業、商品企画、コーポレート部門の各部門が集結しています。
今後の目標やビジョンについて今のお気持ちを聞かせてください。
樋本:設計の現場との懸け橋であり続けたいですね。2024年、VCSに技術部門が集結し、他部門との距離がより一層近くなりました。業務の共通化、効率化を進め、技術者にとって働きやすい環境を作りたいです。
岡村:技術者にとって働きやすい環境を作りたいというのは、私も同じです!
樋本:また、ライフキャリアとしては、管理職になっても在宅勤務や働く時間の自由度を高め、趣味のスキーの時間や家での時間を少しずつ増やしていきたいですね。
岡村:私はビジョンやキャリアプランの枠を固めずに、流れの中で考え、行動するタイプです。入社時点では、技術者として働き続けるイメージを漠然と持っていましたが、タイミングごとの選択を重ねた結果、想定していなかったキャリアとなり、自分でも面白く感じています。
樋本:機会を引き寄せているようにも感じます。チャンスに乗った、とも言えるのではないでしょうか。
岡村:そうかもしれませんね。なので今もキャリアビジョンはないのですが、そんな私でも育児期間も含めてキャリアを構築することができたのは、制度面だけでなく上司や周囲の人にも恵まれていたんだなと感じています。恩返しの意味でも、今後もその時その時で求められることに対し、必要なスキルを身に着け、会社の利益や成長に貢献していきたいですね。
樋本さん、岡村さん、貴重なお話をありがとうございました。
所属・職位はインタビュー時点の情報です。