JVCケンウッドグループは、企業理念「感動と安心を世界の人々へ」の実現のため、「変革」と「成長」に取り組んでいます。その源泉は従業員であり、従業員一人一人が共に健康であることを重要な経営課題と認識し、「JVCケンウッド健康宣言」を発信して「全ての従業員が健康で生き生きと働くことができる職場環境」の整備を持続的に目指し、健康で生産性の高い働き方の定着を推進していきます。
JVCケンウッドは、企業理念「感動と安心を世界の人々へ」実現のために、
「全ての従業員が健康で生き生きと働くことができる職場環境」を目指します。
JVCケンウッドは「経営方針」「JVCケンウッド健康宣言」および「従業員の健康課題」から、健康経営の推進方針を「全ての従業員が健康で生き生きと働くことができる「職場環境」の整備を持続的に目指し、健康で生産性の高い働き方の定着を推進する」と定めています。また、健康経営の目標を「健康を基盤に、全従業員が生き生きと働き、組織の持続的成長に貢献する」と位置づけ、「エンゲージメントスコア 70以上」をKGI※に設定しました。
また、2030年度までのKGI達成のための「目標指標」を設定しており、それぞれ「ワークエンゲージメントの向上」「プレゼンティーイズムの維持向上」「メンタル不調に伴うアブセンティーイズムの低減」「医療費の適正化」の達成を目指していきます。
これらを「健康経営戦略マップ」にまとめ、全社で取り組みを推進しています。
※Key Goal Indicator(重要目標達成指標)
健康経営の取り組みを加速させるため、人事・総務担当役員のもと、「健康管理事業推進委員会」を設置しています。本委員会では経営層および産業医、人事部健康経営グループ、総務部、労働組合、健康保険組合など関連部門が連携して、各拠点の安全衛生委員会、人事総務責任者および健康経営推進担当者と共に健康に関する重点課題の改善に取り組んでいます。また、労働組合との情報共有や協議に加えて、グループ会社に対しても方針や施策を展開し、活動を共同で実施するなど、健康経営に取り組んでいます。
※健康管理事業推進委員会は、会社、産業医、労働組合および健康保険組合の委員によって構成されています。
※安全衛生委員会は、会社が指名する委員および労働組合の推薦する委員によって構成されています。
健康診断は健康経営の基本であり、定期健康診断の受診率100%達成はもちろん、医療職からなる健康サポートセンターが主体となり、所見のある従業員への精密検査受診を推奨するなどの保健指導を通じて、疾病の早期発見と重症化予防に取り組んでいます。
加えて、健康保険組合と共にがん検診や婦人科検診の実施を推進しており、産業医による結果確認と面談、再検査などの受診勧奨や保健指導を行っています。なお、海外赴任者についても定期健康診断の受診状況を把握しており、結果の収集、受診勧奨や保健指導を行っています。
さらに、従業員が自身の健康状態を確認し自己管理に役立てられるよう、健康診断の結果を経年で閲覧できる健康管理システムを活用してヘルスリテラシーを高め、自発的な健康管理を促す仕組みも整えています。
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | ||
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定期健診 | 受診率 | 100% | 100% | 100% |
有所見率 | 71.3% | 73.3% | 74.3% | |
血糖検査有所見率 | 13.5% | 15.0% | 14.5% | |
血圧検査有所見率 | 16.0% | 16.7% | 15.8% | |
血中脂質検査有所見率 | 32.7% | 31.4% | 30.4% | |
精密検査受診率 | 82.6% | 96.1% | 96.4% | |
血圧リスク者率※1 | 0.7% | 0.3% | 0.4% | |
血糖リスクと考えられる人の割合※2 | 0.5% | 0.4% | 0.3% | |
高血圧のうち治療中率※3 | 91.1% | 87.6% | 84.0% | |
特定健診 | 特定保健指導実施率 | 18.5% | 21.0% | 23.6% |
メタボリックシンドローム非該当者率 |
66.0% | 66.5% | 67.7% | |
消化器検診 | 胃がん検診 | 65.0% | 76.4% | 77.0% |
大腸がん検診 | 78.0% | 94.4% | 94.7% | |
婦人科検診 | 乳がん検診 | 41.0% | 52.6% | 56.8% |
子宮がん検診 | 33.0% | 41.8% | 44.8% | |
睡眠休養※4 | 67.8% | 66.4% | 65.3% | |
運動習慣※5 | 28.8% | 30.4% | 30.1% | |
肥満率※6 | 29.4% | 29.3% | 30.8% | |
ウォーキングイベント参加者数 | 400名 | 493名 | 517名 |
※1 収縮期血圧 180 mmHg以上または拡張期血圧 110 mmHg以上の人の割合
※2 空腹時血糖が200mg/dl以上の人の割合
※3 特定健診時の標準的な質問票で、「血圧を下げる薬を使用している」と回答した人の割合
※4 健康診断問診「睡眠で休養が十分とれている」に「はい」と回答した人の割合
※5 健康診断問診「1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施」に「はい」と回答した人の割合
※6 日本肥満学会の定めた基準BMI25以上の割合
ストレスチェックは健康経営の基本の一つであり、高い受検率維持はもちろんのこと、高ストレス者に対しては医師による面談や看護職による相談を行うなど、従業員へのストレス意識向上やセルフケア促進の取り組みを実施しています。また、管理職に対しては職場単位の集団分析とその結果に関するフィードバックを行い、職場環境の改善につなげています。
メンタルヘルス不調者の早期発見や職場復帰支援については、これまで継続的に取り組んできた二次予防(不調者対応)、三次予防(復職支援・再発予防)に加えて、一次予防の施策としてストレスチェックの集計結果を活用した職場単位の集団分析を行い、その結果を管理職にフィードバックしたり、管理職を対象としたラインケア研修を実施するなどして、メンタルヘルスの不調に陥りにくい職場づくりに努めています。その指標の一つとして、健康問題による生産性低下率測定プログラム(WLQ-J)を用いてプレゼンティーイズム(生産性指標)を測定し、中期経営計画「VISION2025」の人的資本戦略において重要視する指標としています。
休業に至った従業員に対しては、職場と健康サポートセンター、人事部健康経営グループが連携して、治癒までの支援、および、復職支援プログラムを活用した職場復帰のサポートを行っています。
このようなメンタルヘルス対策を通じて職場内のコミュニケーション向上を図りながら、2024年度にスタートした「JVCKENWOOD Career Design」という一人一人の従業員と伴走しながら能力・キャリア開発を支援する仕組みにより、管理職や一般従業員に対して実施されるキャリア調査を通じて従業員のキャリア志向やスキル、個性などを可視化し、適材適所での活躍を実現することで、仕事に生き生きと取り組める環境づくりを推進しています。その指標として従業員意識調査のエンゲージメントスコアをモニタリングしています。
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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ストレスチェック受診率 | 98.2% | 95.8% | 96.3% |
ストレスチェックによる高ストレス者割合 | 9.8% | 10.1% | 10.8% |
職場分析フィードバック参加者数(幹部職対象) | 366名 | 605名 | 683名 |
アブセンティーイズム(1ヶ月以上の休業者の発生率)※1 | 1.6% | 1.7% | 1.8% |
プレゼンティーイズム(生産性指標)※2 | 94.0% | 94.1% | 94.1% |
エンゲージメントスコア※3 | 58 | - | 68 |
ワークエンゲージメント※4 | - | - | 2.5 |
平均勤続年数 | 24.8年 | 24.7年 | 24.8年 |
離職率/離職者数 | 4.0%/124名 | 4.7%/145名 | 8.9%/272名 |
※1 1ヶ月以上の疾病休業者数を計測(2024年度対象人数:3,061人、のべ休業者数54人)
※2 プレゼンティーイズム測定ツール WLQ -J(Work Limitations Questionnaire 日本語版)の結果(2024年測定人数:2,791名、回答率:90.1%)
※3 従業員意識調査「エンゲージメント」関連設問における「好意的回答」の点数(2024年測定人数:2822名、回答率:91.2%)
※4 新職業性ストレス簡易調査票「ワークエンゲージメント」のスコア(2024年測定人数:2955名、回答率:95.4%)
■長時間労働削減に対する方針と取り組み
JVCケンウッドグループでは、「JVCケンウッドグループ人権方針」の中で、従業員の労働時間・休日・休暇を適切に管理し、過度な時間外労働を禁止することを明示しています。管理職を含めて時間外勤務が45時間を超える従業員に対し、超過時間に応じて「部門長」「事業部長」「担当役員」などの承諾を必要とするなど労働時間管理を実践しています。また、必要に応じて産業医面談を行うことで健康障害の予防に努め、職場環境改善などを促し、職制や安全衛生委員会などの活動を通じて、長時間労働の実態把握と職場へのフィードバックを行っています。さらには、管理職の評価制度に部下の労務管理を組み込んだり、一定時間以上の長時間労働者のパソコンにロックをかけるなど、より実効性のある取り組みを推進しています。
こうした取り組みにより、全社一人あたりの総実労働時間は、2017年度には平均1,986時間だったものが、2024年度には1,889時間まで減少しています。また、業務用パソコンのログ管理などによる客観的な労働時間把握による労務管理を徹底し、長時間労働による健康障害の予防に努めています。
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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年間総実労働時間 | 1,890時間 | 1,873時間 | 1,889時間 |
年間所定外労働時間 | 193時間 | 197時間 | 200時間 |
■労働時間の適正化
事前にまとまった有給休暇取得日程を決めることができる計画取得年休制度を導入することで、ワーク・ライフ・バランスに配慮した休暇取得の機会を創出しています。また、在宅勤務手当を支給し、テレワーク規程の定着を促進しています。さらにフレックスタイム制度をより柔軟にした「スーパーフレックスタイム制度」とするなど、従業員の多様な働き方を支援することで、通勤時間の負担軽減や労働時間の使い方を最適化し、より生産性の高い働き方を推進しています。
ヘルスリテラシーを向上させることにより、従業員の自律的な健康増進(セルフケア)を会社が後押しすることを目指します。具体的には管理職へのラインケア研修や、従業員一人一人が健康に対して関心を持つよう促すセミナーやイベント、動画コンテンツによる研修などを行うことで、積極的に健康情報に触れる機会を継続して提供しています。さらに産業医や看護職による教育や相談を定期的に行い、健康に関する意識を高める活動を行っています。
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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ラインケア研修の受講率 | 94.9% | 82.8% | 92.6% |
女性特有の健康課題研修受講率 | 87.9% | 84.3% | 39.5% |
女性特有の健康課題研修満足度 | 99.3% | 82.5% | 98.5% |
JVCケンウッドでは2018年度より健康保険組合とのコラボヘルスの一環として事業所内の禁煙活動を開始し、着実に喫煙者を減少させてきました。具体的には、健康サポートセンターによる社内イントラネットへの月刊コラム掲載、案内パンフレットの配布、健康保険組合とのコラボ企画(禁煙補助薬の配布キャンペーンから健康保険組合の禁煙プログラムの紹介)などを行ってきた結果、2024年度の喫煙率は19.4%となり、着実に低下を続けています。2025年度は18.0%を目指して喫煙者への禁煙サポート施策を展開します。
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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喫煙率 | 20.2% | 19.6% | 19.4% |
社内ポータルサイトに産業医、看護職による健康をテーマとしたコラムを掲載して、従業員のヘルスリテラシーの向上や健康増進の啓蒙を行っています。
現在、三大感染症といわれるHIV(エイズ)、結核、マラリアにより、世界で年間約数百万人の尊い命が奪われており、社会的・経済的に大きな影響を及ぼしています。特に途上国においては、これらの感染症がその発展・成長に対する大きな阻害要因ともなっており、蔓延を防ぐことは世界共通の課題であると認識しています。一方でこれらの健康課題は、国内においては諸外国に比べると大きな問題となっていないことから、JVCケンウッドグループでは、主に従業員が海外赴任する際に感染防止対策を行うことで対応しています。
役職員がこのような感染症に関する正しい知識を身に付け、予防できるように、海外赴任する駐在員及び帯同家族に対しては事前に海外の生活・医療・安全などについて説明するほか、健康診断を実施し、必要に応じて破傷風・肝炎といった赴任国に合わせた感染症の予防接種を実施することで、従業員とその家族の健康で安全な海外生活をサポートしています。
新型コロナウイルスや季節性インフルエンザなどの感染症の対応として、職場の感染拡大による事業活動への影響を防止するため、社内ポータルサイトを通じた情報発信や在宅勤務の活用を推進しています。また、インフルエンザ予防対策では、健康保険組合によるワクチン接種の費用補助や、事業所内集団接種を行っています。
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
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投資額(円) | 48.5百万 | 49.6百万 | 51.5百万 |
※2024年度の主な使途:健康診断に関する諸費用40百万、ストレス改善に関する諸費用6.4百万、研修、セミナー、コミュニケーション促進に関する諸費用3.8百万
主要なお取引先に自己評価シート(SAQ)を送付し、「人権」や「労働安全」などの評価を行っております。
自己評価シート(SAQ)の回答結果で、重要な法令違反につながりうる項目への回答において高リスクと特定した既存のお取引先には、該当するリスクの改善要請を文書で通知しています。また、改善を継続的に要請しても改善が見られない場合や重大な法令違反が見られた場合、現地監査による確認や取引内容を今後検討します。こうした継続的な改善要請や指導を通じて、「人権」や「労働安全」をはじめとするサステナビリティ課題に関するリスクの回避や軽減に取り組んでまいります。
また、毎年行っている「パートナーズミーティング」では、「JVCケンウッドグループ人権方針」や「JVCケンウッドCSR調達ガイドライン」などの周知と、「人権」や「労働安全」「健康経営」等についての具体的な取り組みの説明を行っています。
JVCケンウッドは、従業員一人一人の健康と職業生活の両立を最優先の取り組みの1つに考えています。平均年齢の上昇に伴う健康リスク高まる中、病気を抱えながらも働く意欲と能力のあるすべての従業員が、安心して治療と仕事を両立できる職場環境を整備することを基本方針としています。
これらの取り組みを通じて、当社は従業員が健康で充実した職業生活を送れるよう、今後も積極的に支援してまいります。
JVCケンウッドは、日本健康会議が主催する「健康経営優良法人認定制度」の大規模法人部門において、優良な健康経営を実践している企業として2018年から8年連続で認定されております。また、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)ホワイト500」の認定は、2025年で7回目になります。
JVCケンウッドは、従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを行う企業として、スポーツ庁より「スポーツエールカンパニー」に2022年から4年連続で認定されています。JVCケンウッドでは、従業員のロコモティブシンドローム※の予防と健康意識の向上、運動習慣の保持増進を目的として、健康保険組合、労働組合と共同で「ウォーキングイベント」の開催や出社時に事業所内移動で階段の利用を促進する「階段を歩こう」運動を展開する等しています。また、「バドミントン」「ヨガ」などさまざまな社内スポーツサークルへの補助などの取り組みも推進しており、それらが評価され認定につながりました。
※運動器の障害のために、立ったり歩いたりするための身体能力(移動機能)が低下している状態。