「良い音」とは何でしょうか?
アーティストはそれぞれに拘りを持って音楽に取り組んでおり、各楽器の音色や定位、音場感や奥行き、繊細な聴こえ方のバランス等、細部にまで拘った音楽づくりがなされています。「この音をお客様に聴いて欲しい」というアーティストの想いのこもった音こそが「良い音」であると私たちは考えています。「アーティストが届けたい音」として制作されたオリジナルマスター音源。このマスターから、様々な要因により劣化したり失われてしまう情報に対して、派手な加工や無理な誇張はせずに、あくまでもオリジナルのそのままを忠実に再現すること。
「元の状態に戻す・復元する」「変質させない・オリジナルのまま」、この2つの指針に基づき、「アーティストの拘りの音をオリジナルのままに再現する」これが「K2」の理念です。
「良い音」が求められる環境や音楽の楽しみ方の変化に対応し、「K2」はこれからも進化し続けます。
「K2」は音響機器メーカーのハード側技術者と、音楽制作ソフト側のスタジオエンジニアによって共同開発されました。実際の開発現場では、ハード側技術者による設計試作機をスタジオエンジニアが試聴評価し、ソフト側エンジニアが希望する音の方向性や改善点をハード技術者が具体的な設計に反映し、またスタジオエンジニアが音質評価をする、というキャッチボールを繰り返し行われてきました。
これを料理の世界に例えると、食材の産地や鮮度がいくら良くても実際に食べたときに美味しくなければ料理としての価値は半減してしまいますし、かと言って味だけが総てではなく材料や素材も重要である、ということに似ているかもしれません。食材を厳選出来る経験豊かなシェフが調理し、その味を客観的に評価し更に高めていくことで最高の料理は出来上がるのでしょう。音の評価もまさに同様で、理論やスペック、回路・部品が理想的で極上でも、実際に音として良く聴こえなければ評価に値しません。しかもそこで判断されるのは「音」ではなく「音楽」です。それぞれの分野のプロフェッショナルが一体となり、開発と進化し続ける「K2」。 JVCケンウッドグループには他社にはない、音質と音楽の伝わり方を熟知したソフトとハードのエキスパートが一体となった理想的な開発環境があります。
「K2HDプロセッシング」は、他の類似技術が採用している周波数ドメイン(時間ごとに切り取った周波数情報からデジタル化処理の際に失われた情報を作り出す)ではなく、タイムドメイン(時間軸)での信号処理を施しています。これは時間ごとに変化する波形情報を、波形のピークごとに区切って解析を行い、失われた情報を復元するという、他には例の無い発想のオリジナルテクノロジーです。
楽器の音は多くの倍音により構成されており、その倍音がデジタル化で失われてしまいます。 「K2」テクノロジーのタイムドメインでは、時間軸を基本に波形の変化情報から失われた音楽情報を解析することで、それぞれに異なる倍音成分を持つ各楽器ごとの音色の復元や、演奏者の音楽表現の再現までを可能にしています。周波数領域ではなく時間軸で処理をする「K2」だからこそ実現可能な技術です。
「K2 テクノロジー」を搭載したコンパクトコンポーネントシステム:ビクター「HR-EX10000」
「K2テクノロジー」は、多様化している「K2」技術の総称です。
音響機器を主とするプロダクト製品へのロゴ表記や技術名称の記載には、分かり易さを目的として、総て「K2テクノロジー」を使用しています。現状、「K2」の主流となっているアップコンバート技術「K2HDプロセッシング」を搭載したプロダクト製品にも、総称した名称の「K2テクノロジー」と表記されています。
「K2インターフェイス」で始まった技術は、その後音楽制作現場、音楽メディア製造工程、民生機器組み込み技術へと広がり、開発されています。それらの技術は「高品位伝送技術」と「高音質化技術」の2つに大別されます。
「K2」のこれまでの主な技術は以下になります。
K2 INTERFACE
(K2 インターフェイス)
net K2
(ネットK2)
K2HD
(K2HD)
K2HD PROCESSING
(K2HD プロセッシング)
K2HD CODING
(K2HD コーディング)
K2HD PRO MASTERINRG
(K2HD PRO マスタリング)
「K2」技術の主な系統図
「K2」技術の実施例
「net K2」(ネット・ケー・ツー)は音楽配信などの圧縮音源(MP3、WMA、AAC、ATRAC3など)に関する高音質化技術です。開発当初は「net K2」を圧縮系での情報処理と区分けしていましたが、現在の「K2HD」技術がこの処理機能を含む事から、総称して「K2HDプロセッシング」と呼ばれています。