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2025年9月30日更新
価値創造における現状と課題、目指す方向性
中期経営計画「VISION2025」では、株価をより意識した経営に向けて、業績改善により事業基盤をさらに強固にするだけでなく、株主還元の充実や財務・資本戦略を実行することで資本効率の改善を図るとともに、サステナビリティ経営を推進して企業価値の最大化を図り、PBR1.0倍超を早期に実現することを基本戦略として掲げています。
その中間年度である2024年度は、売上収益3,703億円、事業利益253億円(事業利益率6.8%)、ROE16.9%、ROIC12.1%、親会社所有者帰属持分比率39.9%と、2024年10月に上方修正した業績予想を大幅に上回り「VISION2025」の最終年度である2025年度の数値目標も達成することができました。
また、株主還元についても配当や自己株式取得を積極的に行ってきたことなどから、PBRは1.0倍を超える水準で推移しています。
このように順調に推移している「VISION2025」において、成長牽引事業のさらなる成長を促すようなM&Aを含む投資の実行や再構築事業における構造改革のスピードアップを図ることで、PBRのさらなる上昇を目指していきます。
資本コストや株価を意識した経営
「VISION2025」においては、最終年度となる2025年度にROE10%以上、有利子負債資本倍率(D/Eレシオ)0.6倍以下、親会社所有者帰属持分比率35%以上という目標を掲げ、前中期経営計画「VISION2023」で進めてきた事業体質の改善をさらに推進しています。また、資本コストや株価を意識した経営を実現するために、より積極的な株主還元策を実行するとともにROICを新たな財務指標に加えることで、資本効率の改善を図っています。
2024年度には、部門ごとにハードルレートに対して自部門がどのような位置にあるのかを把握し、ROICの改善に向けて何をすべきかを検討するために、CEOとCFOによる事業ポートフォリオの評価を実施しました。
評価プロセスにおいては、事業責任者自らが自部門の抱えている運転資金や固定資産の金額を把握し、自部門のROICの現状と今後どのように改善していくのかを説明することで、ROIC経営の浸透が図られました。今後もこの活動を推進し、資本効率を改善していきます。
主な経営指標の推移
2022年度 (実績) |
2023年度 (実績) |
2024年度 (実績) |
2025年度 (目標) |
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売上収益 | 3,369億円 | 3,595億円 | 3,703億円 | 3,700億円以上 |
事業利益率 | 4.7% | 5.5% | 6.8% | 5.0%以上 |
親会社所有者帰属持分比率 | 33.0% | 36.2% | 39.9% | 35%以上 |
EBITDA | 423億円 | 406億円 | 440億円 | ― |
EBITDAマージン | 12.5% | 11.3% | 11.9% | 10%以上 |
ROE | 18.2% | 12.2% | 16.9% | 10%以上 |
ROA | 5.6% | 4.2% | 6.4% | ― |
ROIC | 8.3% | 8.9% | 12.1% | 9%以上 |
キャピタル・アロケーションの方針
「VISION2025」においても、キャッシュ・フローの創出に重点を置き、使途を明確化した上で効果的なキャッシュ・アウトを実行しています。
3カ年のキャッシュ・インに関しては、営業キャッシュ・フロー約900億円に事業や資産の売却などによる約100億円のキャッシュを加えた1,000億円を想定しています。2024年度までの2カ年累計の実績は、営業キャッシュ・フローが646億円、資産の売却などによる収入が96億円となり、計画を上回る推移となっています。
また、3カ年のキャッシュ・アウトに関しては、既存事業の拡大・維持に必要な成長投資として約650億円を、戦略投資として約350億円をそれぞれ使用していく計画としており、2024年度までの2カ年累計の実績は、成長投資として386億円、戦略投資として新社屋建築費用や関係会社への増資などの新規投資で86億円、株主還元で160億円、借入金返済で133億円となりました。
今後は、株主還元に加えて、成長牽引事業を中心にM&Aを行うなど、成長に向けて必要な投資を実施していく予定です。
キャッシュ・イン
キャッシュ・アウト
株主・投資家の皆さまへ
「VISION2025」の策定にあたり、株主・投資家の皆さまのご期待や、当社の経営環境および資本状況を踏まえて、株主還元方針を変更しました。
新しい株主還元方針では、従来の配当に加え、中長期的な利益成長に向けた資本活用、資本効率性の改善効果のバランスを踏まえつつ、機動的な自己株式取得を行っていくこととしました。これにより、株主還元の指針を従来の配当性向から総還元性向に変更し、総還元性向の目安を30~40%と定め、これまで以上の株主還元を実行しています。また、当面は総還元額のうち4割程度を配当に、6割程度を自己株式取得に充てる方針です。
この考え方に基づき、2024年度の配当は、中間配当として5円、期末配当として10円の年間15円とし、前年度から3円の増配としました。また、2024年11月6日から2025年2月4日までの期間で約45億円、2025年5月8日から6月5日までの期間で約20億円の自己株式を取得しました。これらにより、2024年度の親会社の所有者に帰属する当期利益に対する総還元性向は、約43%となりました。
2024年度は、結果として総還元性向の目安とする30~40%を超える株主還元となりました。これは、米国の相互関税発表の影響で2025年4月に株価が年初来安値を付けたことから、急遽20億円の自己株式取得を決定したことによるものです。今後も、株価動向を見ながら機動的な自己株式取得を実施し、株主価値の最大化を図っていきます。
なお、2025年度の配当は3円増配となる18円を予定しており、このうち6円は中間配当として実施する予定です。
配当金の推移
総還元額、総還元性向の推移