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CFOメッセージ



2026年9月18日更新

 

積極的な投資の実行により事業の拡大を推進し、持続的に資本コストを上回る価値創出を目指します

資本コストを意識した経営の進展

当社は前中期経営計画「VISION2025」において、「資本コストと株価を意識した経営」への転換を掲げ、収益力と資本効率の向上を両立させる取り組みを進めてきました。その結果、利益成長に加え、ROICも10%前後と「VISION2025」における経営指標をほぼ達成することができました。

一方で、現状のROICは資本コストを上回る状態ではあるものの、外部環境などの影響を受けやすく、安定的に高いエクイティスプレッドを確保できる状況には至っていません。いかなる状況下においても「持続的に資本コストを上回り続ける構造」をいかに構築するかが重要な経営課題であると認識しています。

直近のWACCは前年から低下し、5.64%となっていますが、当社では投資判断の規律を維持する観点から、社内ハードルレートとしてWACCを上回る7%を設定しています。これにより、資本コスト低下による改善のみに依存するのではなく、事業の収益力と資本効率の双方を高めることで、持続的な企業価値向上を実現していきます。

ROIC経営の深化に向けた課題と取り組み

「VISION2025」を通じて全社のROICの改善は進んだものの、事業ごとの資本効率のばらつきが課題となっています。高収益事業が全社ROICを押し上げる一方で、その他の事業では低いROICにとどまっているケースもあり、全社として充分なエクイティスプレッドを確保できていない状況です。

この課題の改善のために、新中期経営計画「VISION2030」では、事業ポートフォリオを再定義し、成長牽引事業では投資の促進により成長を加速させ、再構築事業では事業構造改革を進めることで、その最適化を図っていきます。そして、これらを達成するためにキャピタル・アロケーションの見直しを行いました。

また、ROICを共通言語とした意思決定の浸透については全社的な理解は進んでいるものの、個別の投資案件や既存事業の再評価において資本コストを起点とした判断をさらに徹底させていく必要があります。今後は、期待リターンと資本コストの比較を前提とした投資基準を実効的な経営指標として機能させていきます。

成長に向けたキャピタル・アロケーションの戦略

「VISION2025」におけるキャピタル・アロケーションは、営業キャッシュ・フローと資産売却によるキャッシュ・インを基盤に、成長投資に加え新規事業投資、株主還元、有利子負債返済などの戦略投資を行うことにより、収益基盤の強化を進めてきました。一方で、戦略投資の内容については、株主還元が中心となり将来の成長につながるM&Aなどの投資があまり実行できなかった点は少し残念な結果となりました。

「VISION2030」においては、収益の基盤となる成長投資として1,100億円、事業拡大や事業基盤強化、株主還元などの戦略投資として900億円以上、合計2,000億円以上のキャッシュを、経営指標の達成に加えて「めざす水準」に近づけるために積極的に使っていきます。そのために必要なキャッシュ・インは、営業キャッシュ・フローの1,700億円と2025年11月に発行を決定した転換社債型新株予約権付社債による調達資金のうち自己株式取得に使用した分を除く250億円に加え、足りない分については新たな資金調達で賄う計画としています。

「VISION2025」では稼げるキャッシュの中から効率よくバランスの取れた投資や株主還元を行ってきましたが、成長に対する投資が充分に実行できなかった反省から、「VISION2030」では成長や構造改革に資するキャッシュは積極的かつ機動的に使っていき、必要な資金は新たな調達も含めて用意していくという考え方に変更しています。

一方で、非効率な投資拡大とならないように、投資案件ごとに想定ROIC、回収期間、リスク要因を総合的に評価し、優先順位を明確化して将来にわたり資本効率を高める案件に厳選して投資を行う方針です。また、既存事業についても継続的な評価を行い、資本コストを下回る状態が続く場合には、構造改革や資産の再配置を含めた対応を進めていきます。


キャッシュ・インとキャッシュ・アウト

「VISION2030」実現に向けた財務戦略と資本市場との対話

IR活動の高度化や情報開示の充実を通じて資本市場との対話を深化させ、ポートフォリオ改革や収益力強化による当社の成長や資本効率改善に対する蓋然性の評価向上を図ります。また、最適な資本構成の構築も重要であり、財務健全性を維持しつつ、負債と自己資本のバランスを適切にコントロールすることで、WACCの低減やROEの向上を目指していきます。

「VISION2030」においては、ROICを中長期的に10%以上で安定させ、持続的なROICスプレッドの確保を目指します。その実現に向け、投資による成長の促進、資本効率管理の高度化、資本コスト低減の取り組みを一体的に推進していきます。

株主還元については、総還元性向の目安の上限を従来より5%引き上げ、40%から45%としました。安定的な配当と継続的な増配を基本としつつ、機動的な自己株式取得を実施し、成長投資とのバランスや市場環境を踏まえた柔軟な対応を行います。

今後も、CFOとして、資本市場との対話を通じて経営の透明性と納得性を高め、企業価値の最大化に貢献していきます。


1株当たり配当金推移

1株当たり配当金推移グラフ

総還元性向・株主還元総額

総還元性向・株主還元総額