株式会社JVCケンウッドは、地域貢献活動の一環として、横浜市およびデクセリアルズ株式会社（以下、デクセリアルズ（株））と連携して、熱線再帰フィルム アルビードを使用した暑さ対策に関する実測調査を横浜市立上末吉小学校（横浜市鶴見区）で実施いたしましたが、屋内外の暑さ対策に有効であることが確認できましたので、お知らせいたします。

1．実測調査の背景と結果について

　当社は、2014年8月に横浜市と「地域活性化に関する包括連携協定」を締結しましたが、その推進項目の一つとして、「横浜市における快適な環境づくりへの貢献」を掲げており、熱線再帰フィルムを活用した「市街地のビル群地域におけるヒートアイランド対策」もその活動の一例です。

　今回の実測調査は、横浜市およびデクセリアルズ（株）との公民連携の取り組みとして、デクセリアルズ（株）が製造・販売を行う熱線再帰フィルム アルビードを使用した暑さ対策の効果を定量的に把握するために行いました。

　熱線再帰フィルム アルビードは、窓ガラスの内側に貼ることにより、室内に向かう近赤外線（熱線）を天空に反射させることで室内の温度上昇を和らげるとともに、従来の遮熱フィルムと比べて、屋外の地表面に向かっていた熱線の低減効果を持つものです。

　横浜市上末吉小学校で行った実測調査においては、「遮熱フィルムを貼らない教室」「熱線再帰フィルム アルビードと同等の遮蔽係数（遮蔽係数が0.6～0.7）を持つ従来の遮熱フィルムを貼り付けた教室」「熱線再帰フィルム アルビードを貼り付けた教室」の3種類の環境を設定。教室内と熱線が反射する周囲のグラウンドで、外気温に日射や長波放射の影響を温度として加味した仮想の空気温度である“相当外気温度（SAT）”や、日射の強さを表す“日射量”などの暑さに関わる指標を測定しました。

　この結果、8月23日（晴天で1日の日照時間が10時間を超えた日）の午前9時から10時の間で、熱線再帰フィルム アルビードを貼り付けた教室では、遮熱フィルムを貼らない教室に比べて、教室内の日射量が平均で49%低下、相当外気温度が平均で12.2℃低下しました。また、熱線再帰フィルム アルビードの特長である熱線を天空に反射させ、グラウンドに向かう熱線を低減させる効果により、グラウンドにおける日射量は遮熱フィルムを貼らない教室に比べて、熱線再帰フィルム アルビードを貼った教室の場合では1%低下していた一方で、従来の遮熱フィルムを貼った教室の場合では11%増加していました。さらに、熱線再帰フィルム アルビードを貼り付けた教室の周囲のグラウンドの相当外気温度は、従来の遮熱フィルムを貼り付けた教室の周辺と比べて平均で約3.6℃低いというデータが得られました。

　今回の実測調査により、従来の遮熱フィルムでは太陽光の近赤外線（熱線）が下方向に反射してグラウンドへ到達する熱線が増加するのに対して、熱線再帰フィルム アルビードでは熱線が天空に反射することでグラウンドに向かう熱線も低減させる効果があることが定量的に確認されました。

2．今後の取り組み

　当社はこのたびの実測調査の結果を受けて、当社のグループ会社で、様々な業種の顧客に対して業務用ソリューションを提供している株式会社JVCケンウッド・公共産業システムを中心に、都市部における環境課題であるヒートアイランド現象の緩和策の１つとして、熱線再帰フィルム アルビードの提案とその普及促進に取り組んでまいります。

3．調査の概要

• （1）実施場所 ： 横浜市立上末吉小学校（横浜市鶴見区上末吉5丁目24番1号）
• （2）実施期間 ： 平成29年7月21日～8月25日
• （3）調査内容 ： 上末吉小学校の1号館（窓が南東向きの校舎）3階に次の3教室を用意しました。
  教室①　窓ガラスの内側に熱線再帰フィルム アルビードを貼った教室
  教室②　従来の遮熱フィルムを貼った教室
  教室③　遮熱フィルムを貼らない教室
  各教室内とグラウンドで暑さに関する項目を測定し、各教室での測定結果の比較により、熱線再帰フィルム アルビードによる暑さ対策の効果を定量的に評価しました。
• （4）測定項目 ： 屋内　教室内の相当外気温度（SAT）、日射量、温度など
  屋外　グラウンドの相当外気温度（SAT）、日射量、温度など

【参考1】熱線再帰のイメージ

※熱線再帰とは、上方から入射する熱線を上方に反射する機能を指しており、必ずしも光の入射方向に向かって反射するものではありません。

【参考2】実測調査の様子

測定機器

教室内での測定

グラウンドでの測定